W杯

カタールワールドカップは劇的な結末を迎えた。アルゼンチンが前半の内に2点を先取するも、後半に怒涛の連続ゴールでフランスが追いつくと、そのまま延長戦に突入する。

延長前半はスコアが動かなかったが、延長後半にきれいな崩しからメッシが右足で勝ち越しゴールを決めた。この瞬間、ほとんどの人はアルゼンチンが勝利すると思っただろう。

しかしただでは終わらないのがワールドカップ決勝。その10分後に、アルゼンチンがペナルティーエリア内でハンドを犯し、フランスにPKが与えられる。

絶好のチャンスをエムバペが落ち着いて決め、フランスが土壇場で同点に追いついた。

その後は両者が何とか耐えきり、2006年以来3度目のワールドカップ決勝でのPK戦となった。

PK戦では、アルゼンチンが全員成功させる一方で、フランスは1人がセーブ、1人が枠外に外し、アルゼンチンが1986年以来の優勝を果たした。

個人タイトルでは、MVPがメッシ、得点王がエムバペ、最優秀若手選手がエンソ・フェルナンデス、最優秀GKがエミリアーノ・マルティネスとなった。

今回注目するのは、最優秀若手選手賞に選ばれたエンソ・フェルナンデス。今大会で一気にその名を世界に知らしめた選手だ。

初戦のサウジアラビア戦とメキシコ戦は途中出場だったが、ポーランド戦でスタメン出場を果たすと、安定したパフォーマンスを披露。優れたパス能力で攻撃にリズムを作るほか、守備の強度も高く、相手に全く仕事をさせなかった。

以後はレギュラーの座を確保し、スタメンとして全試合に出場。21歳ながら常に落ち着いたプレーをし、アルゼンチン代表の優勝に大きく貢献した。

アルゼンチンには激しい守備スタイルの選手が多いが、エンソ・フェルナンデスは比較的クリーン。決勝ではカードをもらったが、それが最初で最後だった。無駄なファールを与えないという意味でも、エンソ・フェルナンデスの存在は大きかったはずだ。

このように今大会大活躍をみせたエンソ・フェルナンデスだが、最終的に最優秀若手選手賞を受賞した。ゴールやアシストという目に見える数字が少ない中でこのような賞を受賞できるのは非常に立派なことだ。

果たしてエンソ・フェルナンデスは、今後どのような成長を遂げていくのか。

以下は直近5大会の最優秀若手選手賞受賞者である。

2006年ルーカス・ポドルスキ(ドイツ)
2010年トーマス・ミュラー(ドイツ)
2014年ポール・ポグバ(フランス)
2018年キリアン・エムバペ(フランス)
2022年エンソ・フェルナンデス(アルゼンチン)