「One Moment Can Change the Game」のスローガンで2019年フランス女子ワールドカップのグローバルマーケティングキャンペーンを発表したFIFAの公式決済サービスパートナーであるVisa。その際、同企業は女性がピッチ内外で作り出す価値ある瞬間を大切にし、10億人とも言われるW杯の視聴者とほぼ同じ数のSNS上の人々の間で優位性を確保することにブランドの焦点を当てた。
そして、女子ワールドカップに力を入れるというVisaの決断は、2019年7月7日に吉と出た。その日は、アメリカ代表がオランダ代表を破り、同国4度目のタイトルを獲得した日であり、約1400万人のアメリカ人がその瞬間を目撃したという。この数字は、NBA(バスケットボール)やMLB(野球)の終盤戦の視聴者数を上回っている。
さらに、FIFAの2026年戦略計画では、加盟211カ国の市場において女子サッカーをビジネスの優先ラインとして位置づけることを目標としている。デジタルコンテンツの活性化やマーケティング、コミュニケーション、プラットフォーム、そしてサッカーをプレーする全世界6千万の女性の人権の促進と保護の活動する組織やインフルエンサーとの協力といった具体的な商業プログラムを打ち出している。
女子サッカーに関わるスポンサー例
以下は、女子サッカーに何らかの形で投資している企業の例だ。
1. 注目度の高いスポーツイベントを積極的にバックアップしているカード決済ネットワークのVisaは、女子ワールドカップのプロモーションに男子大会と同程度の費用を投じた。
2. 2022年初め、バークレイズ銀行はイングランドの女子スーパーリーグ(WSL)史上初の公式スポンサーとなり、1000万ポンド(約1260万円)以上の契約となったと報じられている。
3. 2021年7月5日、中国の電子決済大手アリペイは、中国女子代表チームと10年1億4500万ドル(約195億5100万円)の契約を結んだと発表した。
4. 美容・化粧品会社のエイボンは、2017年にリバプール女子クラブと独占契約を結び、史上初の女子プロサッカークラブのスポンサーとなった。
5. 2019年4月、イングランドに本社を置く薬局チェーン「ブーツ」は、イングランド、スコットランド、ウェールズ、北アイルランド、そしてアイルランド共和国のナショナルチームと契約を結んだ。
イングランドサッカー協会で女子プロスポーツの責任者を務めるケリー・シモンズ氏は、これらの大きい額の契約が革命を起こすと語る。しかし、サッカーの中で大金が動くのは放映権の販売時になると指摘している。
FIFA2026の戦略プラン
『FIFA 2.0』では、世界中の女性のサッカーへの参加レベルを向上させることが重要視されており、2026年までに女性プレーヤーが6000万人に届くことを目標として掲げられている。
さらに、2022年までに全加盟国において女子サッカー戦略を確立し、2026年までに女子ユースリーグを持つ連盟の数を倍増させることを目標としている。世界中の女子のサッカーへのアクセスを大幅に改善するために、学校のカリキュラムにサッカーを取り入れ、エリートアカデミーを設立し、資格を持った女性のコーチや審判を増やすことが大切だとFIFAは考える。