UEFAは、20-21年の女子チャンピオンズリーグに1250万ユーロを投資したが、これは同大会がそのシーズンに生み出した損失に相当する額である。
21-22年は、2021年から2025年にかけての世界的な放映権をDAZNに集中的に売却することで、女子CL参加チームへの資金と大会に出場しないクラブへの連帯保証金が2400万ユーロに達するという新たな局面に突入している。ここで、50クラブが参加し、16チームによるグループステージが行われるという大会方式の変更が行われた。
DAZNは、UEFAにとって初めての独占的な放映パートナーであり、最初の2シーズンはYouTubeでも無料で視聴することができる。またこの契約には、試合放送に加えて、数々の舞台裏のコンテンツが含まれる。この放映のマイルストーンは、17-18年からUEFAが4130万ユーロを投資している大会を財政的に持続可能にするための支援となる。
女子チャンピオンズリーグは、想定される年間赤字が17-18年の500万強から、19-20年以降1200万強の赤字になっている状態。19-20年大会は、コロナウイルスの影響で無観客で試合を行い、あらゆる予防措置を講じた結果、1470万ユーロの出費となった。パンデミックに対策を打つため、18-19年と比較して46%支出が増加した。
UEFAの今後数年間の主な目標は、女子サッカーへの金銭的打撃を、放映権収入および商業収入の増加で確実に相殺することだ。しかし、20-21年は、大会の売上がわずか140万ユーロにとどまっている。
女子CLに出場するクラブの現状
当面の間、男子CLと同様に、女子CLにおいてグループリーグやプレーオフでは、クラブ間の予算格差が大きく、厳しい状況が続くと考えられる。しかし、決勝トーナメントに進むとバルセロナ・フェメニ(女子チーム)など予算が500万ユーロから800万ユーロのビッグクラブが対戦することになる。
今シーズンで言えば、日本時間5月22日2:00にリヨンとの女子チャンピオンズリーグ決勝を控えるバルセロナ・フェメニは、予算は750万ユーロで、選手総額は460万ユーロ。ただ、リーグ戦では、20-21年に全勝優勝を成し遂げたにも関わらず、230万ユーロの赤字となっている。
一方で、決勝の相手であるオリンピック・リヨンも、2011年から2020年の間に7つのタイトルを獲得するなどの過去10年間の取り組みと、パリ・サンジェルマン(PSG)との地元のライバル関係から、このレベルの予算は長年にわたって確保されているという。
イングランドのリーグ(FA女子スーパーリーグ)は、ここ数ヶ月で記録的な放映契約や商業契約を結んでいる。BBCとSkyは2024年までテレビ放映料として2800万ユーロを、男子プレミアリーグの元タイトルスポンサーであるBarclaysは、2021-2024年のサイクルでネーミング料として3000万ポンドを支払うことになる。
その支援の中で、例えばビッグ4(アーセナル、チェルシー、マンチェスター・ユナイテッド、マンチェスター・シティ)は、パンデミック前にすでに400万〜700万ユーロを女子チームに投資していた。この数字は、今シーズンさらに増加していると見られる。
ビッグクラブと中位・下位クラブの格差
ここまで紹介してきたのは、チャンピオンズリーグ出場の常連チームともなっている強豪クラブ。実際は、中位・下位クラブとの差は歴然だ。
一つの例としてスペイン女子1部リーグを見てみよう。優勝したのはバルセロナだが、なんと2年連続の全勝優勝を果たしている。30試合で30勝0分0敗、159得点11失点と圧倒的な成績だ。2位のレアル・ソシエダWが21勝3分6敗であるため、ここの差は非常に大きいことがわかる。
男子以上にリーグ内での実力・経済格差がある女子サッカー。今後さらなるスポンサー増加などで圧倒的な格差を埋めることはできるのか。