スポーツ選手は若くして引退することが多い。ゴルフなど比較的体力より技術が重視されるスポーツでは年齢を重ねても現役である場合があるが、サッカーなど圧倒的な体力が必要とされるスポーツでは引退年齢が必然的に早くなる。

ただ、引退というのは必ずしも年齢のみが要因になるわけではない。衰え、怪我、メンタル面の問題、技術不足での戦力外など人によって様々だ。

先日、元イングランド代表・元アーセナルのジャック・ウィルシャーの引退が発表された。16歳でアーセナルのトップチームデビュー、18歳でイングランドA代表デビューという華やかなスタートを切ったウィルシャーだったが、30歳という若さでピリオドを打つことになった。

もちろんサッカー界において30歳という年齢は若いとは言えない。花を咲かすことができずにもっと若くして現役を退く選手も数多く存在する。それでもウィルシャーほどの能力があれば世界的に名を馳せるような活躍を見せることができただろう。

そんなウィルシャーのキャリアを狂わせてしまったのは度重なる怪我。『ガラスの天才』は、最終的に超一流までたどり着くことができずに第一線から退くことになった。

さて、今回はウィルシャーのように30歳以下で引退することになった主な有名選手たちを紹介していこう。

エリック・カントナ

マンチェスター・ユナイテッドなどで活躍した元フランス代表FWエリック・カントナは、30歳の時に突如現役引退を表明した。5年間所属したマンチェスターUでは、最終年を含む4年連続2桁得点を記録しており、まだまだ現役を続けられたように思えたが、本人の決断は第一線から退くことだった。

中田英寿

初めて海外で成功した日本人選手と言える中田英寿は、2006年のドイツW杯終了後に引退。その時の年齢は29歳だった。圧倒的なフィジカルを武器にペルージャ、ASローマ、パルマなどで活躍した中田の引退は精神面が理由だという。引退後は多岐にわたって活動を続ける。

ファン・バステン

アヤックスとACミランで活躍した元オランダ代表のファン・バステンは30歳の時に引退を決意。ただ、最後に出場した試合は28歳だった。バロンドール3回、エールディビジ得点王4回、セリエA得点王2回など輝かしい成績を残したが、慢性的な怪我に完全に打ち勝つことはできなかった。

アルフ・インゲ・ハーランド

リーズやマンチェスター・シティなどで活躍したアルフ・インゲ・ハーランドは30歳の時に現役を退いた。ロイ・キーン(当時マンチェスター・ユナイテッド)から受けた激しいタックルも一つの要因となり膝を手術。そこからの復帰を目指したが、完全な状態でピッチに戻ることはできなかった。

22-23年から息子のアーリング・ハーランドもマンチェスター・シティでプレーするが、果たして活躍を見せることはできるのか。

※2011年の1年だけの現役復帰は含まない。

ファブリス・ムアンバ

アーセナルのEFLカップでプレミアリーグデビューを果たし、その後バーミンガムやボルトンで活躍したファブリス・ムアンバは、24歳という若さで現役引退を強いられた。イングランド各年代の代表にも選ばれていた期待の選手だったが、試合中に心臓の問題で突如倒れ、そのままピッチに復帰することができなかった。引退後はユースチームのコーチを務めるなど、順調なセカンドキャリアを歩んでいる。

ジョン・フラナガン

18歳の時にリバプールのトップチームでデビューを果たしたジョン・フラナガン。その後順調に成長し、20歳(13-14)のシーズンでスタメンを確保。このまま一流選手になると思われたが、翌シーズン前のプレシーズンマッチで膝を負傷。その後怪我前のパフォーマンスを取り戻すことができず、2022年10月に29歳で引退を表明した。