「サッカー選手が一方的に契約を解除した場合、選手本人か移籍先クラブのどちらに責任があるかどうかは、『実行のタイミング』『自発的であるか』『退団までの裏側の動き』といった要素が鍵になる」
これらは、ジョルディ・ロペス・バテット弁護士が、21-22年シーズンのスポーツ法に関する最後のラ・リーガミーティングで発言した内容だ。「退団までの裏側の動きは決して見逃せるものではないが、選手に責任があるかどうかを決定付けるものではない」と同弁護士は指摘している。
FIFAの規定によると、正当な理由なく契約を解除した側は、相手側に補償する必要があり、また、夏と冬のマーケットで1回ずつ、新規獲得選手の登録禁止などの制裁を受ける可能性があるという。
第一に、正当な理由なく前クラブとの契約を解除した選手を新たに雇用したクラブは、「その選手が元クラブとの契約関係を破棄するよう誘導した」ことになる。したがって、チームも訴えられた選手も、推定無罪を主張するためにFIFAに訴えることができ、最終的にはスポーツ仲裁裁判所(CAS=Court of Arbitration for Sport)に訴えることができるのだ。
「先述の”誘導”を証明しなければならないのは元所属クラブではなく、新所属クラブの方だ」と、バテット弁護士は説明する。同氏は、2020年にポルトガルのクラブ、CDトンデラで起こった一件を取り上げた。
この一件は、アルジェリアのクラブ「ナスル」が、ナウフェル・カセフ選手とCDトンデラに対して、不当な雇用契約違反による賠償を求めて訴えたもの。長期間の審査の結果、FIFAは選手とCDトンデラにナスルへの賠償を命じた。
さらに、同選手には4ヶ月の出場停止処分が下され、CDトンデラは夏と冬の移籍市場で選手と契約することができなくなった。CASが「クラブが他のチームとつながりのある選手と契約するのを防ぐこと」を目的として裁定を下したのだ。
最後に弁護士は「一方的な契約解除の”誘導”は新クラブに関するものであり、前所属チームが法的措置を取ることになった場合、制裁を受ける可能性は非常に高い」と指摘した。結論として、契約が一方的に打ち切られた場合は、新しく所属するクラブと対象選手に罰則が与えられることになる。