ワールドカップでは1954年以降、決勝の前日に3位決定戦が行われている。準決勝で勝利した2チームは決勝へ進むが、惜しくも敗れてしまった2チームはこの3位決定戦にまわる。
カタールワールドカップの3位決定戦はクロアチア対モロッコ。クロアチアはアルゼンチンに、モロッコはフランスに敗れた。
3位決定戦も順位を決めるうえで大切な試合ではあるが、世間一般的にはやや盛り上がりに欠ける試合でもある。これ以上勝ち進めるわけでもなく、トロフィーを掲げることもできないからだろう。
ただ、スポーツ選手として負けて良いという考えがあるはずはなく、普段通りの戦いが見られるはずだ。
また、3位と4位では獲得賞金が2億円以上(200万ドル)異なるため、自国のサッカーを成長させるためにも勝利を追いかける必要がある。
今回は1954年スイス大会以降に行われた3位決定戦を振り返っていこう。
This Morocco team will go down in history 🇲🇦 pic.twitter.com/j90HWRF1D7
— GOAL (@goal) December 14, 2022
1954年オーストリア対ウルグアイ(3-1)
前半に1点ずつを取り合った両者だったが、オーストリアが後半の序盤にオウンゴールでリードを奪うと、終了間際にはダメ押し点を追加し、3位となった。
1958年フランス対西ドイツ(6-3)
この大会はペレの印象が強いが、得点王はフランスのジュスト・フォンテーヌである。3位決定戦でも4ゴールを決め、最終的に13得点を記録することとなった。この数字は1大会での最多得点記録である。
1962年チリ対ユーゴスラビア(1-0)
開催国のチリは、準決勝で前年王者のブラジルに敗れ、3位決定戦にまわることとなった。試合最終盤まで0-0の緊迫した状態が続いていたが、終了間際にスコアが動き、なんとかチリが3位に滑り込んだ。
1966年ポルトガル対ソ連(2-1)
ポルトガル代表は1966年のワールドカップが初出場。準決勝で開催国イングランドに敗れたが大健闘と言えるだろう。3位決定戦でも勝利し、初出場の成績は3位に終わった。
1970年西ドイツ対ウルグアイ(1-0)
2大会連続の決勝進出を狙った西ドイツだったが、準決勝でイタリアとの激しい撃ち合いの末敗北。3位決定戦では前半に奪ったゴールを守り切り、3位で大会を終えた。
1974年ブラジル対ポーランド(0-1)
2回目の2連覇を目指していたブラジルは、2次グループステージで2位に終わり、決勝進出を逃した。さらに3位決定戦の対ポーランドでも得点を奪うことができず、ポーランドに3位の座を譲ることとなった。
1978年ブラジル対イタリア(2-1)
2次グループステージでは開催国アルゼンチンと同じグループに入ったブラジルだったが、得失点差でわずかに及ばず、2大会連続で3位決定戦を戦うことに。イタリアに先制を許すが、後半に2点を決め、逆転勝利を収めた。
1982年ポーランド対フランス(3-2)
2大会ぶりの3位決定戦に挑んだポーランドは、前半に先制を許すも、前半終了間際に一気に逆転に成功。後半に両チームが1点ずつ決めるも、そのままポーランドが逃げ切った。
1986年フランス対ベルギー(4-2)
フランスは2大会連続で決勝進出を逃し、3位決定戦に進んだ。延長戦までもつれ込んだが、延長でフランスが2点を追加し、3位フィニッシュとなった。
1990年イタリア対イングランド(2-1)
66年の優勝時以来のベスト4となったイングランドは、3位決定戦でイタリアと対戦。後半の中盤まで0-0のままもつれたが、バッジョのゴールでイタリアが先制に成功する。その後イングランドがすぐに追いつくも、再びイタリアが得点をあげ、イングランドは3位で終えることができなかった。
1994年スウェーデン対ブルガリア(4-0)
近年サッカー強豪国とは言えない両チームが3位決定戦を戦うことになった。試合は前半序盤からいきなり動く。スウェーデンが前半の間に4点をもぎ取ると、そのまま後半も逃げ切り、3位に終わった。
1998年オランダ対クロアチア(1-2)
ユーゴスラビアからの独立後、初めてワールドカップに出場したクロアチア。前半に先制点を奪うも、すぐに同点に追いつかれてしまう。それでも前半のうちにエースのダヴォール・シューケルが勝ち越し点をあげると、それが決勝点となり3位で終えた。
2002年韓国対トルコ(2-3)
自国開催となった韓国は、アジア勢初のベスト4に進出した。自国でできる限り高い順位を目指したが、3位決定戦では惜しくもトルコに敗れた。
2006年ドイツ対ポルトガル(3-1)
東西が統合して以来初の開催国となったドイツだったが、準決勝でイタリアに延長戦の末敗れてしまう。ただ3位決定戦ではポルトガル相手に3-1で快勝し、自国大会を3位で終えた。
2010年ウルグアイ対ドイツ(2-3)
2大会連続で決勝進出を逃したドイツと、1970年以来のベスト4入りを果たしたウルグアイの対戦。シーソーゲームで見応えのある試合は、ドイツが後半37分に勝ち越しに成功し、そのまま勝利した。
2014年ブラジル対オランダ(0-3)
準決勝でドイツに大敗を喫し、失意の渦中にいたブラジル。何とか自国で3位で終わりたかったが、1点もあげることができず、0-3でオランダが勝利。ブラジルにとっては悲劇の大会となった。
2018年ベルギー対イングランド(2-0)
グループステージで同じ組に入っていたベルギーとイングランド。ベルギーが試合開始早々に先制すると、後半の終盤にも追加点を決め、同国史上最高順位となる3位で終わった。