ハビエル・テバス

昨シーズンは欧州サッカー界の大激震の1年だったと言えるだろう。チャンピオンズリーグに代わる新たな欧州のコンペティションの創設が何年も前から噂されていたが、4月18日に「欧州スーパーリーグ」の誕生が発表された。その目的は、コロナウィルスとファン離れが進行する構造的な危機を前に、サッカービジネスを救うことだった。

このプロジェクトは、しっかりとした法的構造を持つため保留となったが、「欧州スーパーリーグ団体」(本社:マドリード)は、UEFAやFIFAなどの団体との法的手続きに数ヶ月間費やしており、未だ解決できていない。

数日前、裁判所は予防措置(各クラブが現在出場しているCLやELなどの選手権から追放されることはない)の合意を確認した。公判前審問は、裁判手続きに終止符を打つための合意または和解の成立を目指す。

プロジェクト開始以来、困難な状況が続いているため、現在も参加しているチームは当初の意図とは異なり、特典なしで大会を運営する可能性を想定した新たな草案を作成している。

そのため、仮に創設されるとしても、スーパーリーグに反対するファンを納得させるために常任メンバーを持たず、すべてのクラブに門戸を開くことになるだろう。そうなってくるとその存在意義、つまり、ヨーロッパで最もスポーツの可能性と資金力のあるクラブのための選抜大会の創設を断念することを意味する。

そもそものスーパーリーグ創設の目的

ユベントス

このプロジェクトは、スーパーリーグへの出場が保証されているヨーロッパ大陸のベスト15クラブ(創設クラブ)と、出場が保証されていない5クラブが、前シーズンの成績によってランク付けされる大会を作ろうというものだった。

同大会は、全世界のスポンサーと放映権から1シーズン40億ユーロ以上の収益を上げることを目標としており、この数字は、現在UEFAがチャンピオンズリーグの参加クラブに分配している19億5000万ユーロの2倍以上である。

しかし、国内リーグからUEFAまで、ヨーロッパサッカー界のあらゆる権力層、スポーツマン、監督、各クラブ会長、さらにはボリス・ジョンソン英国首相のような政治家までが、サッカーの実力主義を壊すとして、このプロジェクトに対して反対の意を示した。

クラブのオーナーに対するファンの圧力や、マンチェスター・ユナイテッドがこのプロジェクトに参加することに抗議した群衆がオールドトラフォードに押し寄せるという事件もあり、アーセナル、チェルシー、リバプール、マンチェスター・シティ、マンチェスター・ユナイテッド、トッテナムは、スーパーリーグ加盟発表からわずか48時間後にこのプロジェクトから手を引くという結果になった。

その数日後、アトレティコ・マドリード、インテル、ACミランもスーパーリーガを進めることを断念し、残るメンバーはレアル・マドリード、バルセロナ、ユベントスのみ。現在もプロジェクト復活のための会議を開いているところだ。

関連記事:ヨーロッパ初の”スーパーリーグ”。プレミアリーグの30年間