マラカナン

皆さんはサッカースタジアムを訪れたことはあるだろうか。

年間シートを保有してほぼ毎試合行く人、1シーズンで1,2回行く人、テレビでしか観戦しない人など試合の楽しみ方はさまざまだが、やはりスタジアムでの観戦はそこでしか味わえない感動を得ることができるのは確かだ。

世界にはさまざまなスタジアムが存在するが、スタジアムの魅力は一つの要素では決まらない。歴史、雰囲気、立地、ファンなど多くの要素が詰まって成り立つ。

今回は、日本でもヨーロッパでもなく、南米で一度は訪れたいサッカースタジアムを10つ紹介していこう。

エスタディオ・センテナリオ(ウルグアイ)

センテナリオ

ウルグアイのサッカースタジアムといえば首都モンテビデオにあるエスタディオ・センテナリオ。1930年の第1回W杯はウルグアイで行われたが、その決勝の舞台がこのスタジアムだった。現在もウルグアイ代表が使用する。

現時点でウルグアイは、アルゼンチンやパラグアイと共に2030年W杯の招致活動を行っている。もしこの南米3ヵ国が選ばれれば、名前の通り(※)ちょうど100年越しのセンテナリオでのW杯開催というなんとも素敵なストーリーになる。

(※)センテナリオはスペイン語で「100年の」の意味

マラカナン(ブラジル)

マラカナン

ブラジルといえばエスタジオ・ジョルナリスタ・ド・マリオ・フィーリョ、通称マラカナンだろう。

1950年のW杯決勝でウルグアイ代表に敗れた「マラカナンの悲劇」から始まり、2016年オリンピック優勝時にネイマールが流した涙、2019年のコパアメリカ優勝、2021年のコパアメリカ決勝でメッシの代表初制覇を見届けるなどさまざまな歴史が刻まれている。

収容人数は8万人ほどで、現在はフラメンゴやフルミネンセといったリオデジャネイロのクラブが本拠地として使用している。

アレーナ・コリンチャンス(ブラジル)

アレーナ・コリンチャンス

ブラジルからもう一つ紹介するのは、アレーナ・コリンチャンス。名前の通りブラジルの強豪コリンチャンスが本拠地として使用するスタジアムだ。

コリンチャンスといえば歴史のあるサンパウロのチームだが、このアレーナ・コリンチャンスは2014年W杯の際に建設された比較的新しいスタジアム。W杯時は開会式とブラジル対クロアチアの開幕戦が行われた。

各ゴール裏スタンドの後ろは筒抜けになっており、近代的な建設物となっている。非常に開放感のあるスタジアムだ。

エル・モヌメンタル(アルゼンチン)

エル・モヌメンタル

アルゼンチンを代表するスタジアム「エスタディオ・モヌメンタル・アントニオ・ベスプチオ・リベルティ」、通称エル・モヌメンタル。強豪リーベル・プレートやアルゼンチン代表が本拠地として使用する。

直近で言えば、2015年のコパリベルタドーレス決勝でリーベルプレートがティグレスに勝利し、3回目の優勝を果たしている。

これまでは陸上トラックを有していたが、現在の改修工事が終了すればサッカー専用スタジアムへと変貌を遂げる。完成予定は2024年で81000人の収容が可能となる。

首都ブエノスアイレスの北東部に位置しており、ラプラタ川が近くを流れる。

ラ・ボンボネーラ(アルゼンチン)

ボンボネーラ

前出のリーベルプレートの最大のライバルであるボカ・ジュニアーズが使用するエスタディオ・アルベルト・J・アルマンド、通称ボンボネーラ。

首都ブエノスアイレスの歴史的に貧困層が多い場所に構えており、比較的富裕層が多いエル・モヌメンタルのある場所と正反対である。この事実も2クラブに強いライバル関係を与えている。

ボンボネーラとは「チョコレート箱」の意味で、スタジアムの見た目が直方体で似ていることからそのあだ名がつけられた。

ファンは非常に熱狂的で、現地ではスタンドの大きな揺れを感じることができる。

エスタディオ・ディエゴ・アルマンド・マラドーナ(アルゼンチン)

エスタディオ・ディエゴ・アルマンド・マラドーナ

マラドーナファンや往年のアルゼンチンファンであれば一度は訪れたい首都ブエノスアイレスにあるスタジアム。マラドーナがデビューしたアルヘンティノス・ジュニアーズが本拠地として使用する。

決して大きいスタジアムというわけではないが、両サイドの壁のようなスタンドは相手に大きな威圧感を与える。

選手やコーチが座るベンチなどスタジアムの至る所に「マラドーナ」の文字が書かれており、その偉大さがわかる。

リベルタドーレス・デ・アメリカ(アルゼンチン)

エスタディオ・リベルタドーレス・デ・アメリカ

リベルタドーレス・デ・アメリカはブエノスアイレス州のアベジャネダにあるスタジアム。アルゼンチンの名門インデペンディエンテが本拠地として使用する。

今回ピックアップした理由はその見た目。四隅にはビルの一角のような観客席が建てられており、そこから観戦することができる。屋根もついており、雨でも濡れる心配がない。

インデペンディエンテの最大のライバルはラシンクラブ。このスタジアムにせっかく行くのであれば、ダービーマッチを楽しんでみてはいかがだろうか。

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エスタディオ・モヌメンタル(ペルー)

エスタディオ・モヌメンタル

ペルーの首都リマに構える南米で2番目に規模の大きいエスタディオ・モヌメンタル。ペルー代表とウニベルシタリオ・デポルテスが本拠地として使用する。ウニベルシタリオ・デポルテスとはリーグ優勝25回を誇る強豪だ。

直近で大きな大会の舞台として使われたのは2019年のコパ・リベルタドーレス決勝のフラメンゴ対リーベルプレート。

前半にリーベルプレートが先制するも、試合終了間際にフラメンゴが連続で得点を決め、逆転優勝を果たした。リーベルファンにとっては印象の悪いスタジアムだ。

エスタディオ・モヌメンタル(チリ)

エスタディオ・モヌメンタル

前出のペルーのスタジアムと同じ名前だが、こちらのエスタディオ・モヌメンタルはチリの首都サンティアゴにある。同国の強豪コロコロやチリ代表が本拠地として使用する。

コロコロはチリを代表するクラブで、リーグ優勝32回を誇る。ライバルはウニベルシダ・デ・チレであり、ダービーマッチは大きな盛り上がりを見せる。

このスタジアムの素敵なところは、観客席からアンデス山脈を眺められること。万が一コロコロが不甲斐ない戦いを見せても、精神を落ち着かせることができるかもしれない。

エスタディオ・エルナンド・シレス(ボリビア)

エスタディオ・エルナンド・シレス

エスタディオ・エルナンド・シレスはボリビアの首都ラパス(憲法上の首都はスクレ)にあるスタジアム。海抜は3776mの富士山よりもやや低い3577mとサッカーをするには非常に厳しい場所にある。

ボリビア代表が本拠地として使用しているのだが、W杯南米予選などで訪れなければならないアウェイチームはしばしばその標高に苦しめられる。

ブラジル代表やアルゼンチン代表も例外ではなく、普通の戦力であれば勝てる試合でも標高のせいで勝ち切れないこともある。

ラパスは京都のような盆地都市で、街並みも綺麗に揃っている。高山病に気をつけながら、観光ついでにスタジアムへ行ってみるのもおすすめだ。