スペイン女子サッカー

13-14シーズンは、サッカー女子1部リーグの第26回目のシーズンだった。2013年9月7日に開幕し、2014年5月4日に最終節が終了。このシーズンでは、FCバルセロナが3試合を残して優勝を決め、3年連続のリーグ優勝を果たした。29節連続で首位に立ち続け、一度もその座を他チームに譲らなかった。

21-22シーズン、現在残り8試合でFCバルセロナは事実上のリーグチャンピオンだ。2位レアル・ソシエダとの勝ち点差は22で、バルサが全敗、ソシエダが全勝しない限りバルサの優勝となる。

このように、8シーズン前と比べてみると、スポーツ面のレベルでは、あまり変わっていないように思える。しかし、経営・組織面ではどうだろうか。

実は、プロライセンスを持った選手の数は、13-14年シーズンは44,873人だったが、現在は約73,000人とかなり増えている(スペイン国内)。どのようにしてこれほどまでに増やすことができたのだろうか。


プロライセンス保有選手が増加した要因

 

. 2015年カナダW杯:スペイン代表がW杯初出場を果たした大会。選手の知名度が上がる要因に。

. プリメラ・イベルドローラ(スペイン女子1部)の発足:正式に女子リーグが設立されたことでクラブに収入が入り、最低限の体制を整えられるようになった。

. レアル・マドリードの女子チームの創設:超強豪クラブが、まだそれほど知名度が高くなかった女子サッカーに進出したことに意味があった。

. 労働協約:女子選手の最低限かつ尊厳のある労働条件の提供を支持、奨励してきた。

. FCバルセロナの女子チームがチャンピオンズリーグを制覇。

. アレクシア・プテラス(FCバルセロナ)のバロンドール獲得。

. 世代別スペイン代表で数々の成功を収める。



女子サッカーの資金はどのように調達しているのか?

スペイン女子サッカー

これらの要因により、女子サッカーの知名度が上がり、新聞の一面やテレビのニュースで取り上げられるようになった。 しかしこれらは一時的なものであってはならない。

さて、サッカークラブの収入は、テレビ放映権、スポンサー/マーチャンダイジング、興行収入の3つから得ている。

現時点では、テレビ放映権の商品化はまだ先だ。新しいプロリーグが設立されれば共同で行うことになるが。ただ、スペインサッカー連盟(RFEF)は今後数シーズンの共同放映権の売却を呼びかけている。

現在、女子部門で独占的なスポンサー収入を得ているのはFCバルセロナだけだ(マドリードCFF、スポルティング・デ・ウエルバ、テネリフェ・グラナディージャといった女性専用の組織は別)。


新プロリーグ設立へ

バルセロナ女子

2021年7月15日、スポーツ上級委員会 (CSD)の執行委員会は女子1部リーグをプロリーグに分類した。しかし、プロリーグと宣言されたからといって、選手の条件がまともであるということではなく、クラブが収入を得ることができるような構造を持っているだけだ。

そこでCSDは、女子1部リーグのクラブに2770万ユーロ相当の補助金配布を発表した。競技に必要なインフラの建設・維持のためで、「競技の質、平等性、持続性の基準を保証する」ことを目的とし、2023年12月31日まで実行される。


また、プロリーグが正式に設立されれば、テレビ放映権やコマーシャル権の商業化され、それによってクラブは義務を果たすための収入を保証されることになるだろう。

(話:CDタコンの創設者マヌエル・メリネロ氏。CDタコンは2020年にレアル・マドリード女子と合併している。)