『睡眠不足』。それは現代人を悩ます大きな問題だ。昔に比べてSNSやオンラインゲームなど熱中してしまう誘惑が身近に多くなっていることが一つの原因と言えるだろう。
それはサッカーにも通ずること。皆さんは2018年ロシアW杯のドイツ代表を覚えているだろうか。
2014年ブラジルW杯で優勝し、ディフェンディング・チャンピオンとして挑んだ大会。メキシコ、スウェーデン、韓国と同グループになり、グループステージ突破はほぼ確実と見られていた。
しかし結果は真反対。初戦でいきなりメキシコに敗れると2戦目スウェーデン戦も本来の調子を取り戻せず。最終的にスウェーデン戦では試合終了間際のクロースのゴラッソでなんとか勝ち点3を手にしたものの、3戦目では韓国に完敗し、まさかの予選敗退となった。
このような結果になってしまった原因の一つに「睡眠不足」があったと言われている。もちろんそれが全てではないが、代表メンバーがW杯期間中も夜遅くまでオンラインゲームに熱中していたことが問題視されていた。
このように睡眠は様々なパフォーマンスにおいて大きな悪影響を及ぼしてしまう。
海外スポーツにおける睡眠の価値観
ここまで2018年のドイツ代表を例に出してきたが、一般的に海外スポーツ界では「睡眠」に真摯に取り組んでいる事例が多く見られる。特に「質」に対して非常にストイックだ。
皆さんはニック・リトルヘイルズ氏という方をご存じだろうか。同氏は世界で最も有名なスリープコーチの一人で、レアル・マドリードやマンチェスターU、マンチェスターC、リバプール、そしてイングランド代表といった強豪チームに専門的な睡眠に関するコーチングを行ってきた人物だ。
各チームについているコンディショニングトレーナー(彼らは全て専門家というわけではない)は、ニック氏の睡眠ノウハウを模範として、上質な情報を各選手に伝えているという。
また、ニック氏はサッカーのみならず、バスケットボール(NBA)やラグビー、クリケット、自転車競技など様々なスポーツのスリープコーチを担当している。
日本人の睡眠の価値観
一方で日本人の睡眠はどうだろうか。一般的に睡眠には疎いというのが現実だろう。睡眠不足による経済損失のデータが2016年に発表されたが、なんと約15兆円にものぼるという。睡眠不足は、作業効率の低下やミスの増加、交通事故リスクなどにつながる。15兆円と言う数字は想像がつかないかもしれないが、先進国の中でGDPに対する比率でいうとワースト1位だ。
なぜ日本が「不眠大国」になってしまったのか。それは、「寝る間も惜しんで努力することが評価される」という日本特有の価値観が足枷になっているのだろう。
では、どのような睡眠が良い結果を出すために必要となってくるのか。それは、「攻めの睡眠」だ。睡眠の質を高めて脳のパフォーマンスを高め、質の良い思考を生み出すことこそが成功のカギだとアスリートスリープコーチの矢野達人氏は言う。
矢野達人氏は先述のニック・リトルヘイルズ氏と正式に契約を結び、アスリートに向けた睡眠指導を本格的に行うアスリートスリープコーチ。ALLSTARS CLUBでは矢野氏による睡眠に関するeラーニングを公開しています。少しでも睡眠に興味のある方は、スポーツをしていなくても役立つ内容なのでぜひご覧ください。