セビージャFCはコロナウイルスによる財務的打撃を乗り越え、2021-2022年に黒字化する予定だ。スペインメディア2Playbookが入手したクラブの中間財務諸表によると、セビージャは上半期に450万ユーロの黒字で、前年同期(20-21シーズン)650万ユーロの赤字から回復を見せた。
今シーズン前半に黒字で締めくくれた要因としては、まずスタジアム内の収入(マッチデー収入やチケット収入)、チャンピオンズリーグの出場、ブライアン・ヒルのトッテナムへの売却。そしてつい最近にはディエゴ・カルロスをイングランドのアストン・ビラに売却することが正式に決まり、クラブは今年度の決算を黒字で終えることが確実となった。
スタジアムの動員は徐々にではあったが再開され、クラブはパンデミック中に失われたマッチデーの収入の一部を回復することができた。6月から12月までの間に、シーズンチケット所有者とソシオからの売上は750万ユーロとなり、売上高15%増の1億1290万ユーロを達成できた要因となっている。
また主な売上項目としては、前年同期比14%減少したものの、やはりコンペティションからの収入は大きく、5260万ユーロに達した。このうち、国内大会がもたらした興行収入はわずか87万4000ユーロだけで、残りはチャンピオンズリーグに出場したことによる収入だ。
しかしこの減少は、ソシオや放映権によって補われ、これらの項目における売上高は前年同期比47%増の4150万ユー ロとなった。同様に、ユニフォームの前面にフィンテック企業のNagaとスポンサー契約したことや、このシーズン前半に締結したその他のスポンサー契約により、コマーシャル収入は39%増の1129万ユーロに達した。
セビージャの得意分野-移籍市場
この10年間、クラブがスポーツ界で目覚ましい成長を遂げた原動力のひとつは、移籍のマネジメントにある。2016年から2018年の間には移籍により6500万ユーロの収入を得ることができ、またこの3シーズン連続で1億6050万ユーロのキャピタルゲインを得ることができた。その後、大きな利益を得たことで別の高額選手を獲得し、転々と利益を生み出してきたのだ。
しかしパンデミックによる移籍市場の停滞、それに伴うクラブの選手残留にこだわった結果、4140万ユーロという過去最高の赤字を出すことになった。しかしその打撃からも回復しており、最近では従来の選手移籍で利益を上げるというビジネスモデルが整いつつある。
ラモン・ロドリゲス・ベルデホ氏(通称モンチ)率いるスポーツ部門は、昨夏に前述した生え抜き選手でもあるブライアン・ヒルを約2500万ユーロで売却し、これがセビージャの純利益を大幅に押し上げた。
人件費は19%増
2022-2023年のチャンピオンズリーグ出場権を確固としたものにするため、選手やスタッフへの支出を19%増やした結果、6390万ユーロとなった。それ以外の人件費を含めると7730万ユーロを超える。
なお、セビージャの従業員数は、2020年末より40人多い450人まで増えている。またこの数字に加えて費用として選手の減価償却費でもある2850万ユーロが含まれる。
~クラブのブランド価値向上にむけて~
クラブのブランド価値だが2Playbook Intelligenceが作成した『LaLiga Stock Market第2版』によると、同クラブの市場価値は4億1050万ユーロに達し、レアル・マドリー、FCバルセロナ、アトレティコ、ビルバオ、バレンシアCFに次いで6番目ということが判明した。
年間3億ユーロのビジネスを目指すセビージャは、ホルヘ・パラデラ氏(元ハイネケン社欧州トップマネージャー)をトップに、クラブ内に総合ビジネス部門を設置した。そして、その他の施策として、クラブがターゲットとしている市場の内の一つでもあるインドのクラブと協定を締結している。
またクラブはスポーツの成績にあまり依存しないようにするためにも、今後数年間で世界のサッカー界で最も評価の高いクラブトップ15に入るための一連のプロジェクトを計画している。
その計画の前提としてラモン・サンチェス・ピスフアンのスタジアムの改修が挙げられる。セビージャは、約2億ユーロを投資し、2年から3年かけてスタジアムを建設する予定だ。
セビージャは、大型施設の経験があり、レアル・マドリードなどのパートナーである国際的なコンサルタント会社レジェンドにプロジェクトを委託している。