前回の記事ではプレミアリーグの2クラブを取り上げて、2021年のクラブ損失に注目した。今回はPart2としてセリエA、ブンデスリーガ、フランスリーグ1のクラブ損失を見ていこう。
セリエA
イタリア国内のトップクラブも同じ運命をたどった。例年以上に競争が激しく、クリスティアーノ・ロナウドが退団した年だが、セリエAのチームが赤字になるのを防ぐことはできなかった。
ユベントス
2021年のイタリア・スーパーカップをかろうじて制したユベントスは、減収と損失拡大の原因を「チケット販売とマーチャンダイジングにおけるコロナウイルスの直接的な影響」とし、前シーズンの1億2000万ユーロの赤字を8900万ユーロ上回る2億1000万ユーロとなった。同クラブはテレビ放映権やスポンサーからの収入を増やすことはできたが、チケット販売による収入はわずか800万ユーロで、2020年比で85%減となった。
ASローマ
これに続いたのがASローマで、2020-2021年シーズンの決算は、前シーズンと比べて1900万ユーロ減の1億8500万ユーロの赤字で幕を閉じた。
ACミラン
一方、ACミランは9600万ユーロの営業損失を計上し、前年度比で約1億ユーロの減少となった。
ブンデスリーガ
次にバイエルン・ミュンヘンの1強リーグと化しているブンデスリーガを見ていこう。
バイエルン・ミュンヘン
バイエルン・ミュンヘンは、ヨーロッパの他のビッグクラブと同様にコロナウイルスの影響を受けたにもかかわらず、ラ・リーガ以外の主要クラブで唯一、昨シーズンを黒字で終えている。同クラブは、200万ユーロの黒字で閉幕した2020-2021シーズンの決算を発表した後、「売上高は減少したが、2020年と2021年には黒字になるだろうし、それは成果だ」と述べた。
シーズン中、アリアンツ・アリーナで無観客試合を強いられ、移籍ビジネスも沈滞(ともに50%減)したにもかかわらず、広告とスポンサーシップのビジネス展開は2億600万ユーロに増加している。また、選手への給与は2020年比で10%増加したが、バイエルンが主に節約したのは営業費用で、前年比34%減の1億5900万ユーロになった。
無観客試合の解除にともない、バイエルンはここ数シーズン達成した利益を引き続き拡大する計画だが、欧州におけるコロナウイルス流行の進展が不透明であることから、「売上高は減少する」と予想している。
フランスリーグ1
次にフランスリーグ1を見ていこう。こちらもまたパリ・サンジェルマンの1強状態となっている。
パリ・サンジェルマン
コロナウイルスが欧州クラブの財政に直接影響を与えた結果、UEFAは、クラブが収入以上の支出をしないようにするためのルールであるファイナンシャル・フェアプレー(FFP)を一時的に緩和した。
ここでPSGは、FFPが緩和されたこと、パリ・サンジェルマン会長のナセル・アル・ケライフィの欧州クラブ協会(ECA)会長就任を機に、この夏、過去10年で前例のない動きを実行した。各サッカークラブの収支に経済的な限界がないかのように、移籍金や給料を投入して、まるで「テレビゲーム」のようなチームを作り上げた。
今年の夏の移籍市場でクラブは7600万ユーロを選手獲得に投じた。レオ・メッシ、セルヒオ・ラモス、ジャンルイジ・ドンナルンマ、ジョージニオ・ワイナルドゥムといった選手とゼロコストで契約したものの、チームの賃金は年間3億ユーロ以上、クラブ収入の60%以上を占めており、2020-2021シーズンには2億ユーロ以上の赤字になると予想されている。
さらに、クラブ最大の資産であるキリアン・ムバッペを2億ユーロでレアル・マドリードに放出するチャンスがあったにもかかわらず、会長は彼を去らせず、契約満了となるフリーで放出することを選択した。