レアル・マドリードの総収入が8億ユーロ(約1033億円)を超えた。会長は100万ユーロ(約1億3000万円)を超える利益の増加がカギになるとほのめかした。
新たな給与カットにより、2019-2020年シーズンを乗り越えたフロレンティーノ・ペレス会長率いるレアル・マドリードは、クラブの総会で、再び利益を生み出す予算を提示した。総会では、多数決(賛成1666票、反対3票、棄権1票)により予算が承認され、クラブにとって画期的な出来事となった。
ただ、レアル・マドリードの副社長兼経済部門長であるペドロ・ロペス氏は、「回復には向かっているが、依然としてパンデミックの影響は残っている」と警告した。
2021-2022年シーズンには、クラブの売上高は再び8億ユーロ(約1033億円)を超えるとされている。さらに、予期せぬハプニングがない限り、マドリードは収益性を維持するために新たなオペレーションを行う予定はない。つまり、2021-2022年シーズンの利益は、慎重な収支の改善に結びつくことになるのだ。
経営陣は、売上高が前年同期比7%増の6億9550万ユーロ(約898億7600万円)になると予想している。改善の主な理由は、コロナウイルスによる制限が解除し始めることによる年会費、年間シート、興行収入の増加だろう。8倍の8553万ユーロ(約110億5300万円)になることが見込まれる。さらに、コロナウイルスの影響を受けた2年の間で大幅な落ち込みを見せたショップ売上やミュージアム入場料の回復も期待できる。
現在レアル・マドリードが直面している問題は、今シーズン末で終了するメインスポンサーのエミレーツ航空との契約だ。試合用ユニフォームやトレーニングウェアのロゴを合わせて約7000万ユーロ(約90億4600万円)となっている。
収入に関しては、マーケティング収入と興行収入の増加によって、15%減の9859万ユーロ(約127億4000万円)になった親善試合や国際試合の費用分を補うことができる。放映収入については、前年比10%減の1億8654万ユーロ(約241億600万円)になると想定されている。
1億ユーロ(約129億円)以上のキャピタルゲイン
4年連続で1億ユーロ(約129億円)超えと移籍によるキャピタルゲインが目立つ。
マドリードは、ラファエル・ヴァランのマンチェスター・ユナイテッドへの売却で4000万ユーロ(約51億6900万円)、マルティン・ウーデゴールのアーセナルへの売却で3500万ユーロ(約45億2300万円)を確保している。この2つのビッグディールに加えて、ブラヒムのACミランへのレンタルなどで300万ユーロ(約3億8800万円)、さらにはすでに移籍した選手のパフォーマンスなどによる変動金も多数ある。
今シーズンは、フロレンティーノ・ペレスが議長を務める理事会は、約4億ユーロ(約517億円)の給与を安定させることができたため、選手の給与をこれ以上下げることを要求する必要はないと考えている。セルヒオ・ラモス(PSG)とラファエル・ヴァラン(マンチェスターU)といった主力選手の放出のおかげとも言えるだろう。
この点においてクラブは、選手獲得ではなく契約更新による「補強」も選択した。実際、トップチームの主要選手数名(ベンゼマ、カゼミロ、フェデリコ・バルベルデなど)との契約を延長しており、短期的にコスト負担を軽減する効果があったと思われる。
減価償却費も抑制され、3シーズン連続で約1億7600万ユーロ(約227億5400万円)となる。エデン・アザール(1億1000万ユーロ=約142億1480万円)、ルカ・ヨビッチ(6000万ユーロ=約77億5300万円)、レイニエ(3000万ユーロ=約38億7700万円)など期待を下回る補強を続けてきたクラブは、これが補強への投資額の上限となるだろう。