2010年にカタールW杯開催が決定してから12年が経過し、2022W杯まで1カ月を切っている。1サッカーファンとしては楽しみで仕方がないという方も多いだろう。ただしひとたび、サッカーファンという枠組みから出れば、カタールW杯は論争や非難の対象となっている。一体なぜだろうか。

まずは最もコストがかかっているということ。イギリスのメディアでは今回の開催にあたってインフラに約200,000,000,000ドル(約30兆円)程かけているという。この規格外の投資による成金ぶりを批判する声も多かったという。

それよりも非難の的となっているのは汚職の疑いだろう。2015年にはFIFAの役員がマネーロンダリングと汚職で逮捕された。それも数名ではなく数十名だ。これにはカタールでW杯開催させるために票集めも行われていたのではないかという推測もある。いずれにせよ、この件を受けてジャンニ・インファンティーノ氏の前に会長を務めていたヨーゼフ・ブラッター氏は辞任を余儀なくされた。

そして何よりも問題視されているのが、労働者の人権問題だ。イギリスの新聞『The Gurdian』によると前述したインフラの建設中にはおよそ6500人が亡くなっている。死因の多くは50度以上にも及ぶ、猛暑の中での長時間労働に伴う水分不足。また建設場の安全性も水準を下回っており、事故で亡くなる方も多いという。

またW杯によりシーズンを中断せざるを得ないということに関して不満を感じているサッカーファンも多い。著名人やスポーツブランド大手企業も同大会に向けて抗議の意を示している。フランス元代表のエリックカントナは「ワールドカップを見ない」と公言している。Hummelもデンマークのユニフォームのテクニカルスポンサーだが、同大会でロゴをユニフォームの同色にすることで目立たないようにしている。

また現地でW杯を楽しもうとしている世界各国のファンにとってもアルコールの制限、ドレスコード、ジェンダーダイバーシティへの厳格な取り締まり、宿泊施設の少なさなど、足枷となっている問題が多く残る。

ワールドカップは世界各国の人たちが集まり熱狂するのが醍醐味でもある。多くの批判はともあれ、サッカーを代表する祭典には違いないため無事に終わることを願っている。