2021年10月、ニューカッスル・ユナイテッドはサウジアラビアの政府系投資ファンドであるPIFに買収された。サウジアラビアの皇太子であるムハンマド・ビン・サルマーンがニューカッスルの株を購入するという取引は、当時約1年半にわたって滞っていた。

実際、英国の世論から常にやや物議を醸す形で見られていたサウジの億単位のプレミアリーグ参入には、プレミアリーグ側の最終的な判断が必要だったのである。

しかし当時プレミアリーグは、マンチェスター・シティのように、湾岸諸国の主権者がクラブを買収して無尽蔵の資金を提供することを避けたかったのだろう。

同時に、アムネスティ・インターナショナルなどの人道支援団体は、ニューカッスルの新オーナーシップをマンチェスターシティによるロンダリングの疑いの件があったということで懐疑的な目で見ていた。

英ガーディアン紙によると、この買収までの流れにはボリス・ジョンソン英国首相も一枚嚙んでいたのではないかと報じている。実際、イギリス政府は、国内経済の発展に欠かせないアラビア湾からの投資を常に高く評価してきた。

さらに、バークレイズ社の会長で、現在はジョンソン政権の投資相であるゲリー・グリムストーンが、当時のプレミアリーグ会長のゲイリー・ホフマンとサウジアラビアの代表者との交渉に関与していたとされる。

しかし、英国政府はこの取引への関与を常に否定してきた。ボリス・ジョンソンは2021年4月、「政府はニューカッスル・ユナイテッド売却のための買収交渉にいかなる段階でも関与していない」と交渉からの不在を確認した。「プレミアリーグにとっての商業的な問題であり、判断するのはすべてプレミアリーグだ」と語っている。

グリムストーン氏も「大臣として無数の会話をする中で、ホフマン氏やプレミアリーグに影響を与え、ニューカッスル買収を承認させようとしたことは一度もない。投資相の役割のひとつは、とりわけ、英国に流入する可能性のある大きな資金を把握することだ」と語っている。