レアル・マドリードの女子チームが発足した最初のシーズン、340万ユーロ(約4億4400万円)が費やされたが、これはバルセロナが女子チャンピオンズリーグ初制覇を達成するために投資した750万ユーロ(約9億8000万円)よりも55%少ない金額となっている。
ラ・リーガだけでなく全世界で盛り上がりを見せ、サッカー界で最も多くのビジネスを生み出す試合「エル・クラシコ」は、女子サッカーでも実現させたいと考えている。プリメーラ・イベルドローラ(スペイン女子1部)が発足した最初のシーズン、レアル・マドリードは338万ユーロ(約4億4170万円)を投資してクラブを最前線に立たせた。しかし、同クラブの投資額は、女子サッカー界での経験が豊富で、多くの勝利を収めているチームであるバルセロナに比べて、55%も少ない数字だ。バルセロナは、2020-2021年にチャンピオンズリーグ初優勝を目指して、750万ユーロ(約9億8000万円)投資した。ヨーロッパのクラブとしては初めて、男子と女子の両方でヨーロッパクラブ王者になっている。
女子サッカー自体が誕生してから自前のクラブを持っていなかったレアル・マドリードは、2019年夏、CDタコンというクラブを30万ユーロ(約3900万円)で買収した。この契約には、2020-2021シーズンにチーム名とエンブレムを変更することが含まれていた。このように昨シーズンは、トップチーム、リザーブチーム、フベニル(U-18)、カデーテ(U-15)の4チームを統合することを決めたレアル・マドリードにとって、新しい時代の始まりだった。
今のところレアル・マドリードは、ユースサッカーの強化はしないと決めているが、一方バルセロナは、2015年からプロとして活動しているプリメーラ・イベルドローラのチームに加え、リザーブチーム、フベニル(U-18)、インファンティル(U-13)と2つのアレビン(U-11)という多くのカテゴリーを持っている。なぜかカデーテ(U-15)は存在しないのだが、、、。
この夏、バルセロナは新たな試みをスタートした。ユースチームの9人の選手が、サッカーと学業を両立させるために、ラ・マシアのトレーニングセンターで生活することになったのだ。一方、レアル・マドリードはシウダー・レアル・マドリッド(レアルの練習場)の近代化のために200万ユーロ(約2億6100万円)以上を投資し、女子を中心に活動している。具体的には、昨シーズン、選手用のドレッシングルームとコーチ用のドレッシングルームが新設されたほか、体育館やトレーニングルームも整備された。
バルセロナ所属選手の平均給料はレアル・マドリードの約3倍
バルセロナに追いつくために、レアル・マドリードは国内外のトッププレーヤーと契約している。わずか数ヶ月の間に、チームへの支出は、プリメーラ・イベルドローラの中で2位となった。具体的には、同セクションの給与に204万ユーロ(約2億6600万円)を費やしている。これはスペイン女子サッカー界では高い数字だが、昨シーズンのバルセロナのチームへの投資額548万ユーロ(約7億1600万円)の3分の1強に過ぎない。それに加えて、バルセロナの選手達には昨シーズンの全勝達成ボーナスが入っている。クラブは全部門のタイトルに対するボーナスの総額を650万ユーロ(約8億4900万円)としか公表していない。
レアル・マドリードが女子チームに費やしている金額は、リザーブチーム(720万ユーロ、約9億4100万円)や他の男子ユースチーム(合計880万ユーロ、約11億5000万円)に費やしている金額の4分の1である。
2021-2022年シーズンのレアル・マドリード女子部門の予算は不明だが、獲得した選手や組織のプロ化が進んでいることから、リソースの増加が予想される。ライバルクラブであるバルセロナの予算は、762万ユーロ(約9億9600万円)だが、実際は選手への支出は4%減少し、526万ユーロ(約6億8700万円)になった。
レアル・マドリード:40万ユーロ(約5227万円)以下の事業
ビジネス面では、レアル・マドリードとバルセロナでは全く異なる数字が出ている。まず、バルセロナは特定のスポンサー収入を女子チームに費やしているに対し、レアル・マドリードはアディダスやエミレーツからの収入のどの部分を費やしているのかを明らかにしていない。また、昨シーズンの終盤、スタジアムの再開時期をずらしたことで、バルセロナチケット販売から45000ユーロ(約588億1000万円)を得た。
バルセロナでは、2018年からStanley Black&Decker社が女子チーム専用のメインスポンサーとなっており、契約金額は約300万ユーロ(約3億9200万円)。その他、男子チームとの契約、チャンピオンズリーグの賞金やテレビ放映収入なども加わり、昨年度は442万ユーロ(約5億7700万円)の売上高で締めくくった。レアルは、この部門はわずか394,000ユーロ(約5149万1300円)であった。レアル・マドリードの売上高の大部分は、スペインサッカー連盟(RFEF)に放映権を一部譲渡することに同意したクラブに、RFEFから支払われる金額となっている。
SNSにおけるコミュニティ
レアル・マドリード女子チームのSNSアカウントは190万人の新規フォロワーを獲得し、女子サッカーチームの中で、チェルシーに次ぐ高い成長率を記録した。これとは対照的に、テレビではトップチームの試合の平均視聴者数はレアルの公式チャンネルで43,000人、シェアは0.50%、レアル・マドリードのエンブレムではなくCD Tacónのエンブレムだった昨シーズンと比べても0.10%の伸びにとどまっている。
ツイッターでは、バルセロナ女子チームのフォロワー数は506,151人で、昨シーズンに62%も増加している(レアル・マドリードは388,964人)。インスタグラムでは、バルセロナのフォロワーは前年比25%増の280万人、レアル・マドリードは創設からまだそこまで時間が経っていないにも関わらず120万人。社会的な格差は、経済計算書が示す数字よりもはるかに小さいものの、依然として両チームには大きな差が見られる。女子のクラシコで男子ほどの盛り上がりを見ることができるのはまだ先になりそうだ。