ニューカッスル・ユナイテッドにサウジアラビア系ファンドが参入したことで、プレミアリーグのクラブの7割が外国人オーナーとなったが、同リーグはラ・リーガに倣って、スポンサー契約の管理ルールの強化に取り組む。
イギリスの新聞「The Times紙」によると、現在プレミアリーグは、サウジアラビアのファンドがニューカッスル・ユナイテッドの所有権を獲得したことを受けて、締結されるすべての商業取引を審査したいと考えている。
1カ月前、サウジアラビアの公共投資ファンド(PIF)がニューカッスルの経営権を取得したとき、世界のサッカー界に戦慄が走った。というのも、彼らはあまりにも多額の資金を所持しているファンドであり、放置しておくとサッカー面だけでなく経営面においても競争力が無くなってしまうからだ。そこでまず最初に取られた措置は、そのオーナーに関連する企業との商業契約を1ヶ月間凍結することだった。新ルールを作成するまでの時間稼ぎとも言える。
この新ルールは間も無く承認される予定だという。ユニフォームの契約やスタジアムの命名権など、すべてのスポンサーシップを対象としている。実は現在、2020-2021シーズンのプレミアリーグでプレーする20クラブのうち14クラブのオーナーが外国人であり、全体の70%を占めているとのこと。アメリカ人を中心に、中国人、アラブ人、イタリア人、そしてロシア人がいる。
マンチェスター・シティ(UAE、アブダビ)やニューカッスル(サウジアラビア)など中東諸国の企業が影響を与えているが、エバートンの新スタジアムの命名権を持つUSMホールディングス(ロシア企業、オーナーはアリシャー・ウスマノフ氏)との関係など、プレミアリーグは他の企業にも注目している。
リーガ・エスパニョーラ:UDアルメリアの例
ラ・リーガではすでに独占を避けるために、経済コントロールに変更を加えている。この措置はニューカッスルの新オーナーに関連して、サウジアラビア人富豪トゥルキ・アル・シェイク氏がUDアルメリアに参入した際に採用された。
スペインサッカー規制当局が追加した条項によると、クラブのスポンサーシップ料は、市場価値に見合ったもので、「真の経済的ニーズ」に応えるものでなければならないとされている。具体的に言えば、新興国から突然、ビジネスを目的としてサッカーに興味を持ったブランドが大量にやってくることは許されない。
UDアルメリアには、700万ユーロ(約9億1500万円)のスポンサーとしてサウジアラビアがやって来たが、理事会はこれを却下した。なぜなら、スペイン2部には、それだけの市場価値を持つ資産がないからだ。実際このスペイン2部というカテゴリーで、全商業ビジネスでその金額を生み出すことができるチームは存在しない。どれだけこの内容が非現実的かが分かるだろう。最終的には数ヶ月後に、サウジアラビアから12社のスポンサーが参入し、こちらは承認された。その結果わずか1年で商業収入が10倍の1070万ユーロ(約13億9900万円)に伸びたという。