64%のファンは、女子スポーツを見ない理由として、「見られない」「情報がない」「報道に興味がわかない」を挙げています。テレビ放映権を共同で販売しているリーグは、他のリーグと比べて7倍の収入があります。


10年後に10億ユーロ(約1300億円)規模の商業ビジネスに。これは、この10年間の女子サッカーの目標であり、メディアによる報道が男子スポーツと同等になれば達成できる数字です。DAZN社とThe Female Quotient社が実施したレポートによると、この数字を可能にするにはブランドやスポンサーの関心にかかっています。

いくつかの国に向けた調査では、女子サッカーへの「関心はある」ものの、「報道が不十分である」という結果が出ています。国民の66%は少なくとも1つの女性スポーツに興味があると答えていますが、ファンのうち64%は女性スポーツを観戦しない理由として、「観戦できない」「情報が不足している」「報道を見ても興味がわかない」を挙げています。調査対象は、スペインを含む8カ国です。

プロモーターは、「女子スポーツが男子スポーツと同等に扱われた場合、ブランドやスポンサーによる投資額は、2030年までに年間10億ユーロ(約1300億円)を超える可能性がある」という考えを示しました。全世界の女子サッカーファンは3億1400万人で、全人口の16%を占めているとの調査結果が出ています。

視聴者に関して男性と女性の割合は非常に均等

実は、女子スポーツの視聴者は男女でほぼ均等で、スペインを含むほとんどの国でその差は15%以下、イタリアでは1%という低さであることが明らかになりました。同2ヶ国の他にも、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、オーストラリア、ニュージーランドなど、女子スポーツの主要国を調査していますが、5人に1人が「女性アスリートのことをよく知らない」と答えています。「メディアはオフシーズンでも男子スポーツに多くの時間を割くため、女子スポーツに割く時間が無くなっています」と研究で非難しています。

時間がないことに加えて、「女子スポーツを担当する解説者や放送局の質にも問題があります。女子スポーツ自体や有名選手、主要選手について深く語れる人が少ない」という事実もあります。

テレビ放映権の共同販売でリーグの収入が7倍に

また、大会の放映権を共同で販売することの重要性も指摘されています。国際サッカー連盟(FIFA)の調査によると、独占放送権の交渉を行った女子リーグは、交渉を行わなかったリーグに比べて、平均して7倍の収益を上げることができました。

この一例が、昨年春に女子スーパーリーグが締結した契約です。イングランド・プレミアリーグは、2021年から2024年の4年間でBBCとSkyに2800万ユーロ(約36億円)でテレビ放映権を売却しました。

ヨーロッパでは、DAZN社が女子チャンピオンズリーグをバックアップしています。このプラットフォームは、UEFAと2024-2025シーズンまでの契約を結んでおり、今シーズンと来シーズンは、同大会の最大61試合をYouTubeで無料放送するという特典が付いています。