2019年のイギリスへの旅行者の内150万人は試合観戦が目的でした。海外からのインバウンドの4%を占めており、一般観光客よりも31%多い合計1077ユーロ(約1346万円)を消費しました。


プレミアリーグは、世界で最もファンが多いサッカーリーグであり、海外で最も放映権を売っているリーグです。そのおかげで、国境を越えて知名度が高まり、旅行者を惹きつけることができています。その証拠に、イングランド・プレミアリーグは、2019年に14億ポンド(約2212億円)の観光ビジネスを生み出しており、これは10年前と比較して84%増となっています(Football Tourism in the UKレポートより)。

現地で試合を観戦するためにチケットを購入した人は150万人にも上り、旅行者の4%が試合を観戦したことになります。また、宿泊客数は1570万人で、全体の5%を占めています。

イギリス政府観光庁のレポートによると、旅行者は試合を見るためだけにイギリスを訪れたのではなく、滞在を利用してチケットを購入したということです。サッカーファンは、一般的な観光客よりも多い、平均10泊をイギリスで過ごしました。 プレミアリーグが観光に与える影響は凄まじく、プレミアリーグのスタジアムを訪れた旅行者は、1回の訪問で1077ユーロ(約14万円)を消費し、平均的な訪問者よりも31%多く消費しました。しかし、1日あたりの平均消費額は、一般的な旅行者の115ユーロ(約1万5000円)に対して103ユーロ(約1万3000円)と平均より低くなっています。

主に旅行者はどこから来るのでしょうか。イギリスへのサッカー観戦訪問者数ランキングでは、アイルランドがトップで、ドイツ、アメリカが続いています。アメリカでは、プレミアリーグのスタジアムに行った旅行者の10人中6人が、旅行前にチケットを購入しています。

下のグラフは各スポーツを観戦するためにイギリスに訪れた旅行者の消費額を表しています。(1旅行あたりの消費額。単位はイギリスポンド)

旅行1回あたりの支出額になると順位が変わり、資金力の高い国がランクインしてきます。2019年はカタールが1億3900万ユーロ(約182億円)でトップとなり、アメリカが1億3600万ユーロ(約178億円)、中国が1億2800万ユーロ(約167億円)で続きます。これらの国は比較的イギリスから遠く、移動にかかるコスト(航空費等)が高いです。しかし、イギリスに近い国であるオランダは、4位のオーストラリアに続き、アラブ首長国連邦を抜いて5位にランクインしています。ちなみにイギリス〜オランダ間は飛行機で1時間強です。

スタジアムでサッカーを観戦した旅行者のもう一つの特徴は「若さ」で、27%が25~34歳でした。次に35〜44歳の24%が続きます。イギリスへの訪問は、年齢的にはバランスが取れているものの、性別では男性が87%とほぼ全体を占めているのに対し、女性は13%にとどまっており、大きな差があります。

一方、サッカーの試合を観戦した人の4分の1(23%)が、英国を訪れた主な理由を「スポーツ観戦」と回答し、合計約35万3000人でした。試合を観戦した人の大半は、プレミアリーグのクラブのファンで、休暇を利用して試合を観戦していました。6%はビジネスのために旅行しており、最終的にサッカーの試合を観戦した人は約94000人に上りました。

他のスポーツと比較すると、サッカーは最も多くの旅行者を惹きつけ、続いてクリケットが多くの消費を生み出しています。サッカーはクリケットの約4倍の収益を上げており、逆にマラソンやモータースポーツは全体の中で最も低い収益を上げていました。

イギリス旅行の93%はイングランドで、残りの7%はスコットランド、北アイルランド、ウェールズが分け合っています。最も多くの旅行者が訪れたのはオールド・トラフォードで、22万6千人の旅行者が訪れ、2億6600万ユーロ(約348億円)を消費しました。エミレーツ、ウェンブリー、トッテナム・ホットスパー、スタンフォード・ブリッジも、2019年には10万人以上の来場者があり、多くの観客が熱狂したことでしょう。

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