インフロント社は、昨シーズンまでコンサルタントとしての活動にとどまっていた。しかし今シーズンはアメリカ、中東、北アフリカでの放映権を販売することで、リーグおよびセリエA所属クラブと合意に達した。


インフロント社は、セリエAとの関係をより強固なものにしたいと考えています。イタリアの日刊ビジネス新聞「Il Sole 24 Ore」によると、インフロント社は2030年までのテレビ独占放映権の他地域(アメリカ・中東・北アフリカ等)への販売に向け、セリエAの各クラブに対し3億3000万ユーロ(約439億9800万円)を提示したとのことです。


インフロント社は昨シーズン、メディアマーケティングの分野でセリエAのアドバイザーを務めており、セリエAとの関係は今に始まったものではありません。ただ2021-2022シーズンから路線変更を行い、アメリカ、中東、北アフリカでの国際放映権を獲得することになりました。カタールのスポーツ専門局「beIN」との合意に至らず、1億1000万ユーロ(約146億6600万円)の穴が空いてしまったため、インフロント社はその差額をカバーすることで合意に至りました。


インフロント社が出てくる前は、セリエAはMENA(中東、北アフリカ地域)で独自に試合を配信・制作し、YouTubeで無料提供していました。それ以前はカタールのbeIN社が放映を行なっていたのですが、2017年のサウジアラビアとカタールの断交により、後にYouTubeでの配信を余儀なくされることになります。発端は、カタールのbeIN社が権利を持つ映像を、サウジアラビア側が海賊放送「BeoutQ」で放送していたことです。このような状況であるにもかかわらず、セリエAはコッパ・イタリアを問題のサウジアラビアで開催したため、セリエAとbeIN社(カタール)の関係性が悪化したのです。

ところが先日、サウジアラビアの公共投資基金PIFがニューカッスルの買収に乗り出したことから、ようやくサウジアラビア当局はBeoutQの取り締まりに着手することを表明しました。理由はbeIN社がプレミアリーグの放映権を持っており、プレミアリーグ側がサウジアラビアに海賊放送に関する注意を行なったからです。

スペインでの権利は2024年までMovistar社が保持しており、2021-2022シーズンから放映権に関する新たな3年契約が始まります。一方セリエBに関しては、スペイン企業のKosmos社(代表者:FCバルセロナ所属ジェラール・ピケ)が担当し、Footters社と提携して試合の制作と配信を行なっています。

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最後に、イタリア国内の権利に関しては、Dazn社がTIM社と提携して主要なパッケージを手に入れることに成功しています。契約は、インフロント社が事業参入を予定している2024年まで。