アトレティコ・マドリードのCEOは、リーグと代表チームをそれぞれ独立させることに賛成している。目的はFIFAと各主要リーグとの間の争いを解消することだ。


ワンダ・メトロポリターノで開催されたワールド・フットボール・サミット(WFS)主催のイベント「WFS Europe」で、アトレティコ・マドリードのCEOであるミゲル・アンヘル・ヒル・マリン氏が、今日のサッカー業界を取り巻く問題について語った。FIFAと欧州主要リーグの争いに関して、「選手が代表チームに選ばれている間の給料は誰が払うべきなのか?」

試合数増加によって選手達の負担が増しているという問題に対し、ヒル・マリン氏はある案を打ち出した。彼の提案とは、「互いに独立した2つのシーズンを作り、リーグ戦は9ヶ月半、代表チームは1ヶ月半、残りの1ヶ月は休暇」というものだ。

ヒル・マリン氏は、「選手が代表チームで活動する期間、クラブが選手の給料を支払うことで、我々は大きなリスクを負うことになります」と振り返った。10月には15人の選手が代表チームに選出されることになるが、彼らは疲れて帰ってくるはずだ。「選手達のためにも1シーズン55試合以内にしてください 」と要請した。

この争いは「私たちを苦しめるだけです」。「競技を統制する組織によって改善されなければ、残された道は『独立』のみです。欧州スーパーリーグ提案のように、何かしらの変化が起こるでしょう。なぜなら、今の方法でクラブを運営していくのは不可能だからです」と同氏は語った。

この点についてヒル・マリン氏は、クラブが経済面で各大会運営団体に依存していることを改めて認識している。「我々の収入の50%以上は、ラ・リーガとUEFAによる収入管理に依存しています」。

そのため、同氏は現在のサッカーの体制に見られる 「ピリついた」雰囲気にも懸念を抱く。「私たちは団結し、ファンの皆様に『試合に参加している』と感じてもらわなければなりません」。また、ビッグクラブとその他クラブの間で適切なバランスを見つけようとしているUEFAの取り組みを称賛し、「すべてのクラブに納得してもらうことはほとんど不可能だ」と強調した。

スーパーリーグについては、「招待を受けたとき参加しないわけにはいかないと思った」と話している。しかし、「私たちがこの場に居られるのは伝統的なサッカーがあってこそであり、スーパーリーグ参加に関しては世間一般からの拒絶反応を感じた」ことを受けて、48時間で同リーグ参加を断ったという。「急いで決めようとしており、計画が十分に練られていない」と感じていた。


CVCと練習施設とワンダ・メトロポリターノ

ラ・リーガとCVCの契約について、ヒル・マリン氏は、「金利は異常に高いが、財政面から分析するのではなく、戦略的パートナーとしてどのような相乗効果が得られるかを考えるべきだ」と指摘した。

「収益性は受動的に得られるものではなく、年率3%以上の収益を上げる必要があります。アトレティコ・マドリードにとってだけでなく、その他クラブにとっても利益になるでしょう」と付け加えた。また、放映権については、「欧州内での拡大はこの先あまり見込めないでしょう」。国内での放映権が10億7000万ユーロ(約1386億1690万円)、海外での販売等が20億ユーロ(約2590億円)で合計30億ユーロ(約3890億円)強になる。

CVCとラ・リーガの契約による収入は「ワンダ・メトロポリターノの周辺を整備するのに役立つだろう」とヒル・マリン氏は語った。クラブは、「スポーツとエンターテイメント」を融合させた新しい練習施設の開発を「短期的に」進めています。これは、アレス・マネジメント・ファンドの支援を得て増資を行なった後の話だ。アレス・マネジメント・ファンドは、クラブの支配を継続するために、ヒル・マリン氏とセレッソ氏の持ち株の33.9%を取得し、そのおかげで2020-2021シーズンは8600万ユーロ(約111億4120万円)の損失で維持することができた。

技術面では、ワンダメトロポリターノ内のレジをキャッシュレス・モバイル決済に対応させ、気軽に買い物ができるようにすることを計画している。