ラ・リーガは、ピケやグリーズマンなどが出資した企業Sorareと手を組み、「デジタルサッカーカード」を販売する。エル・コルテ・イングレス(スペイン百貨店グループ)、マイクロソフトやマルケス・デル・アトリオ(ワイナリー)との契約を延長したことで、同部門の収益は20%増加。


ラ・リーガは、オンラインの世界で今最も注目されているビジネスの一つに参加すると発表した。2Playbookの調査によると、ラ・リーガはSorare社と契約を結び、初のデジタルサッカーコレクションカードを発売する。この契約の金銭的条件は公表されていないが、業界関係者はサンタンデールグループやEAスポーツとの契約と同じくらい重要なものとしており、いずれも年間1000万ユーロ(約13億円)を超えているとされる。

イーサリアムのブロックチェーン技術をベースにしたこの企業は、アントワーヌ・グリーズマンとジェラール・ピケが参加しており、両選手はここ最近相次いで行われた資金調達の際に出資している。昨年7月には、新たな資金調達を開始し、評価額を38億ドル(約4180億円)に引き上げた。ソフトバンク5億3200万ドル(約585億円)の出資を行なっている。

Sorareの魅力の一つは、昔ながらのサッカーカードコレクションに「ファンタジー」を融合させたビジネスモデルだろう。そして、そこにラ・リーガが加わることで、独自で交渉を進める一部のクラブを除いて、ラ・リーガに所属しているすべてのチームが参加することになる。

Sorareのユーザーはまず、公式ライセンスを取得している158クラブと35リーグのさまざまな選手カードのセットを受け取る。その後、他のユーザーが出品しているカードを購入したり、Sorareが出品しているパックに入札して、自分のチームを作成し、様々なファンタジーリーグに参加することができる。

その後、現実世界の選手の試合中のパフォーマンスに応じて、各ユーザーは試合ごとにポイントを受け取ることができる。また、トーナメント(U-23だけを出場させるトーナメントや、特別なカードだけを出場させるトーナメントなどがある)で優勝した人には、新しいカードなどの報酬が与えられる。市場には、各選手のカードが同じ枚数存在するわけではなく、これこそがNFTの価値を決める鍵となるのだ。

トークンの流行りに乗って出てきた他の商品とは異なり、Sorareの強みは、大会の景品によって全ての投資に対して一部還元しようとしていることだ。現在、キリアン・ムバッペのカードを購入すると最大で35万5175ユーロ(約4631万8549円)になるが、エンゴロ・カンテのカードは1336ユーロ(約17万4228円)となっている。一方でレアル・ベティスのナビル・フェキルに関しては500ユーロ(約65205円)以下で手に入る。

このプロジェクトにより、ラ・リーガのデジタルビジネスの選択肢はより増えるだろう。エコシステムには、Marca新聞、EA Sportsが担当するeSportsの大会、ライブスコア社とのグローバル契約がすでに含まれている。昨年5月には、マイクロソフト社との技術提携を更新した。マイクロソフトに関しては、支払いの点においても、大会やクラブのために様々なアイデアを出してくれるという点においても、最も重要な企業のひとつである。


ラ・リーガの関係者によると、2021-2022シーズンにおいて、この手のビジネスの売上高は合計で1億2000万ユーロ(約156億4926万円)を超え、前シーズンと比べて20%近く増えると予想されている。これは、すでに年間約2000万ユーロを支払っているサンタンデール銀行が契約内容を上方修正したこと、その他主要なスポンサーであるエル・コルテ・イングレス(スペイン百貨店グループ)、マルケス・デル・アトリオ(ワイナリー)、アリアンツなどが今シーズンの契約を延長したことが大きな要因だろう。

競合によって高い需要が生まれると証明されている飲食産業では、Telepizza社から引き継いだバーガーキングがスポンサーに加わった。ラ・リーガの会長であるハビエル・テバス氏によると、ピザチェーン店がデジタルエコシステムを使い行なった広告キャンペーンにより、半年間で12万件の注文があった。

ラ・リーガのスポンサーとなっているブランド(エル・コルテ・イングレス、アリアンツ、マツダ、マルケス・デル・アトリオ、バーガーキング)の支払い額は年間約300万ユーロ(約3億9100万円)であるのに対し、グローバルパートナーシップ(バドワイザー、BKT、ライブスコア、マイクロソフト、プーマ)の支払い額は約800万ユーロ(約10億4300万円)となっている。

国際的なビジネスの変化を示すものとして、現在スポンサーシップ収入は39%が国外で生み出されている。これほど成長できたのは、海外視聴者の増加だけでなく、試合の広告を地域ごとに販売することができたからだろう。次の10年の計画は、収益を倍増させ、2億ユーロ(約260億円)を超えることだ。