十数人のトップが、投資ファンドとの「戦略的」合意を評価した。ほとんどが賛成であったが、一部は反対だった。繰り返し使われた言葉は、「成長」「競争力」「インフラ」「デジタル化」だ。


ラ・リーガと各クラブとの長丁場のミーティングから24時間も経たないうちに、CVCとの合意に関して各チームから評価する声が出始めている。まず、インフラ、デジタル化、サービスなどの面で、短期的な対応と中長期的な準備のために、21億ユーロ(約2706億円)を用意した。「戦略的には理想的なタイミングだ」とレバンテUDの会長キコ・カタラン氏は言う。また、スポルティング・ヒホンのハビエル・フェルナンデス氏は、「近年ラ・リーガが下した決断の中で、経済面のコントロールと放映権分配に次いで、最も重要な決断の一つだ」と付け加えた。今回反対の意を示しているのは、レアル・マドリード、FCバルセロナ、アスレティック・ビルバオ、レアル・オビエド(セグンダディビシオン)の4クラブだ。

レバンテは、この資金に最も恩恵を受けているクラブの1つで、パンデミック後の移籍市場の停滞が原因で新選手獲得に問題があることを再認識している。カタラン氏は、「自分たちのポジションを固め、より競争力を高めるために非常に良い機会となります。ラ・リーガ単独では成長できないフェーズに入りました」と強調している。さらに、長期的には「様々な面で向上させることが可能になり、興味深いチャレンジになるだろう」と考えている。

バレンシアの代表アニル・マーシー氏はこの合意を祝福した。「今日はとても重要な日です。私たちはほぼ全員が一丸となって、ラ・リーガの成長を後押しするという決断を下しました。」

さらに、マーシー氏は他のクラブ代表の多くが繰り返し指摘している点に触れている。「他のリーグに対抗するために、一緒に何かをすることが急務です」と語った。バレンシアはこれらの資金を「ブランドの成長」と「クラブ近代化への投資」を続けるために使用する。

「インフラ」「デジタル化」「ブランドの成長」。この3つの柱には、CVCが提供する資金の75%が割り当てられることになっている。 目的はプレミアリーグに近づくためだ。

UDラス・パルマスのGMであるパトリシオ・ビニャヨ氏は、「今回の合意はラ・リーガを世界で最も重要なコンペティションにするために、クラブが手を取り合ってリーグの質の向上を目指すものです」と語っている。資金は「インフラやデジタル化の不足を解消し、パンデミックによる負債を解消するため」に使われる予定だ。


8年間でテレビ放映権を30%増やすという大きな挑戦

今回で言えばラ・リーガに資金を投入することだが、投資ファンドが一企業に資金を投入する際、必ず結果を求める。ラ・リーガの会長ハビエル・テバス氏が考えるラ・リーガが直面している大きな挑戦は、サッカーの大きな支えとなっている放映権料を減らさないだけでなく、8年間で30%の成長をさせることだ。そのためにはクラブ全体を向上させることが必要だと、ラ・リーガ経営陣と大多数のクラブは考えている。

「将来のことやリーグの成長のことを考えなければならない非常に難しい時期での今回の合意は、ラ・リーガにとっては良い合意だと思います。今後我々がリーグを高いレベルで維持していくための後押しとなるでしょう」とレアル・ソシエダの会長ジョキン・アペリベイ氏は語る。

今年からグラナダCFの取締役に就任したパトリシア・ロドリゲス氏は、「インフラやデジタルメディアへの投資を続けるという従来とは異なった根本的な転換期となりました。これはラ・リーガブランドや各クラブのブランドを拡大することに繋がります」と付け加えた。

CVCの資金をどのようなプロジェクトに使用するかをすでに決めているクラブもある。スポルティング・ヒホンでは、クラブのトップが「今回の合意により、練習施設やホームスタジアムを改善する際の様々な投資が可能になる」と認識している。

一方、デポルティボ・アラベスの会長アルフォンソ・フェルナンデス・デ・トロコニズ氏は、Baskonia-Alavés Groupが推進している「Innovaraba」というプランにどれだけの資金が投入されるかについては明らかにしなかったが、デポルティボ・アラベスの「短期的、中期的な資産化を可能にする戦略的プロジェクトを実行するための手段である」と断言した。

SDウエスカは「その場で決断すべき合意だった」と考えている。「ラ・リーガは新たな課題に直面しており、他リーグとの競争が必要となっています。各クラブにどのような影響を与えるかはまだ分からないですが、リーグ全体としては、新たな挑戦に立ち向かうための大きな決断です」とSDウエスカのCEOであるマヌエル・トーレス氏は話す。

セビージャFCの会長であるホセ・カストロ氏は、「パンデミックの影響で、各クラブは財政的に苦しい状況にあります。短期的にだけでなく、中長期的にも良い合意だと思います。また、ラ・リーガの成長を支援するファンドや会社があること自体が素晴らしいです。さらに成長し続けるための良いパートナーとなるでしょう」と語る。

一方、ラ・リーガの新参者であるUDイビサは、この状況を傍観している。同社の会長であるアマデオ・サルボ氏は、自分たちにとっては「小さな助け」だが、この「戦略的合意」を進めるためには「全員が同じ方向に向かって漕ぎ出すこと」が必要だと主張する。


中には今回の合意に反対するクラブも

ラ・リーガのすべてのクラブが今回の合意に賛成したわけではない。反対票を投じ、その理由を公表したいと考えていたのがアスレティック・ビルバオだ。公式声明の中で、CVCとの合意は「財務上の理由により、クラブは将来の理事会や取締役会を運営する余地がなくなってしまいます」と強調している。そして「私たちは短期的な視点での戦略を共有していません」と付け加えた。

セルタ・デ・ビーゴの社長兼オーナーであるカルロス・ムリーニョ氏は、協定に反対しているレアル・マドリードとバルセロナを強く批判している。「彼らはこの調停を望んでいないし、経済的権利を他のクラブに分配することも望んでいない。欧州スーパーリーグでもそうでしたが、彼らは自分自身を孤立させます。もし我々全員が承認すれば、この2大ビッグクラブにとって旨みがなくなる、逆に言えばその他のクラブにとって好ましいものになってしまうと考えているからです」と語った。

またモウリーニョは、ラ・リーガがCVCとビジネスを共同管理する際のプロセスを理解しやすいと考えていた。「どんな企業でも、アメリカや中国で市場シェアを拡大したいと考えれば、代表者を雇い、手数料を支払う。非常にシンプルです」。