大会のメインスポンサー6社は、SNS上で1日あたり235,700件のメンションと23,570件の投稿を発生させた。しかし、ポグバとC・ロナウドがとった行動の影響もあり、すべてがポジティブなものという訳ではなかった。
通常、ブランドはスポンサーシップによってより多くの人に見てもらうことを目的としている。ただ、ユーロ2020でC・ロナウドが記者会見で2本のコカ・コーラのボトルを撤去した出来事のように、時にスポンサーシップは論争の的になる場合もある。彼の行動により、SNS上でのコカ・コーラのインプレッション数は37.5億まで上昇した。
これはKantar社が、メインスポンサー6社のデジタルプラットフォーム上での影響を測定した最新の調査結果によるものだ。この調査結果によると、コカ・コーラ、ハイネケン、TikTok、カタール航空、Vivo、Just Eatは、SNS上で合計235,700件のメンションと23,570件の投稿を毎日生み出した。
コカ・コーラ社は、ボリューム(会話の反響を測る指標)と同様に、インパクトの72%を独占した。同社は、合計171,201件のメンションと27億の閲覧回数を記録したが、Kantar社によると、すべての影響がポジティブなものではなかったようだ。
「C・ロナウドのジェスチャーの後、SNS上でコカ・コーラへの関心が急上昇し、#drinkwaterというハッシュタグが数日間トレンドとなり、ブランドの株価が40億ドル(約4,400億円)も下落する原因となりました」。この発言は実は正しいとは言えない。Kantar社のレポートにも反映されているように、C・ロナウドの記者会見が始まる前から、コカ・コーラ社の株価はすでに下がっており、それまでに株式市場で21億ドル(約2,310億円)以上の損失を出していた。
C・ロナウドがコカ・コーラのインパクトを急激に引き上げる
マイナス影響を与えたにもかかわらず、コカ・コーラ社は、ロナウドの行動に関する話題が集中していたツイッターで、6,203人のフォロワーをわずか4日間で獲得した。似たようなケースがハイネケン社でも起こり、ポール・ポグバがロナウド選手のジェスチャーの真似をした。
記者会見の際、ポグバ選手はハイネケンのボトルを真ん中から排除したが、それが話題になったのは1日後だった。ハイネケンは全体の23%を占め、コカコーラに次いで2番目に高い閲覧数を持つブランドとして位置づけられた。他の4ブランドに関するソーシャルネットワーク上の閲覧数や投稿はわずか5%だった。
これらは予期せぬハプニングであり、コロナウイルスパンデミックの影響で大きなダメージを受けたスポンサーシップ業界をさらに弱体化させる危険性がある。欧州だけでも、新型コロナウイルスによって1年で70億ユーロ(約9,100億円)もの影響が出た。欧州スポンサーシップ協会とニールセン・スポーツの報告書によると、前年比で23%の減少となり、収入は過去10年間で最低の236億3000万ユーロ(約3兆719億円)となった。
マスターカードとアンベブ(ビール会社)がコパ・アメリカとの契約を結ばなかったのは、このようなハプニングを恐れてのことだ。今回のケースは、南米サッカー連盟のコロナ禍の対処やブラジルでの大会開催によって、イメージやブランド価値が低下する可能性を見越してのことだった。
両大会への影響は未知数であり、チケットの売れ行きにも影響が出た。ユーロ2020の場合、パンデミック前の目標は20億ユーロ(約2,600億円)以上の売上を達成することだったが、この目標が達成できたかどうかはまだ発表されていない。