セビージャ

イギリスのスポーツウェアメーカー「Castore」は、3年前にアンディー・マレーと契約して以来、プロスポーツ界に進出している。

既にプレミアリーグのいくつかのクラブと合意に至っているこのブランドは、国際的なサッカーブランドとしての地位を目指し、現在はスペインへの進出を目標に掲げている。その足掛かりとして2022-2023シーズンからはセビージャのテクニカルパートナーとなることが決定した。

セビージャは、2018年にニューバランスとの5年契約を断ち切ってナイキに変更していたが、この度Castoreがバトンを受け取ることになった。当初の条件によると、ナイキはユニフォームの固定価格として230万ユーロを支払い、それに加えて、クラブのプレー面でのパフォーマンス、関連事業者に対するボーナスも支払うことになっていた。

EL優勝などの節目にはボーナスがないが、この契約内容によってクラブには年間約300万ユーロの収入が入る。Castoreの場合、契約の経済的な条件や期間はまだ不明である。

サッカー界におけるCastoreの最初の契約は、スコットランドのグラスゴー・レンジャーズで、契約から11年後に優勝している。当時の契約は5シーズンで、年間500万ポンドだった。イギリスの報道機関によると、ニューカッスルとの契約は、期間が5年間で総額3000万ポンドにのぼる試算がなされている。


ウルブズを皮切りにさらなる国際ビジネス拡大へ

ウルブズ

より少額で交渉を取りまとめることができたのは、プレミアリーグのウルブスだ。クラブは専属スポンサーとしては「クラブ史上最高金額」を受け取ることになると声明で発表した。しかしCastoreの固定支払は100万ポンドで、現在契約を結ぶアディダスの3分の1であると地元メディアは報じている。

さらに言えば、ウルブスは2021-2022シーズンまでアディダスと契約が残っていたが、満了の前に破棄することとなった。Castoreの強力な支援はオフィシャルショップの販売以外の新たな収入源を促すためのもので、1番の目的は新たなクラブと契約を結ぶことだ。

ウルブズとの契約によって、Castoreは全てのグッズを製造し、一方でクラブはCastoreのライセンスを受けたレプリカを製造、販売する予定だ。「このスポンサーシップは、ファンのために今までよりもはるかに広い範囲の商品を提供することができます」。Castoreとしては、チームがより専門的なトレーニングができ、成長することに集中できるよう取り組む。

実は、このスキームは、マクラーレンとの契約を結びF1に参加する際に交わされたものだ。しかしその手法は、シドニー・ルースターズやメルボルン・ストームなどラグビー界を強化するために使われてきたもので、メジャーなブランドの間では目新しいものではないが、プロサッカー界では最も活用されるべきものだ。


ビッグクラブのグッズ販売モデル

バルセロナ

バルセロナやアーセナルなどのビッグクラブは、商品とライフスタイルを繋ぐブランドが興味を持たないことを利用して、独自のグッズを作る、もしくは自分自身で製造している。現在、Castoreは、スポーツブランドを介してそのようなマネタイズをしたいチームの戦略的パートナーとして戦おうとしている。

実際セビージャは、ナイキ無しのこの手法で商売している。オフィシャルストアには、まだ発表されていないが、スウェット、ジャケット、シャツがある。Eコマースを立ち上げ、国際的な売買に大きな影響を与えるAliExpress社のパートナーになるという決断が、どこまで影響を与えるかが注目されている。

これは、商品やオフィシャルグッズの販売で3シーズン経った後のことだ。ナイキとの契約初年度である2018-2019シーズンは、これらの商品による収入が50%増え、540万ユーロに達した。コロナがその妨げになり、2019-2020シーズンには売上高が450万ユーロに落ち込んだが、ラ・リーガのトップ5はキープし、バレンシアとほぼ同額であった。

今シーズンは、他のクラブ同様在庫の余りが問題だった。クラブは「余剰商品の処分」として、ショッピングセンターに公式アウトレットを開いた。専属スポンサーが変わる前の決断はより大きな重みを持つ。

今シーズンの結果が分からない中、セビージャは年末の株主総会に提出された決算書によると、9月末時点の予想では1億8060万ユーロだったが2億2670万ユーロに上方修正された。これは25.5%の増加であり、目標を達成した場合、2019-2020シーズンの決算では900万ユーロの改善になる。


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