マンチェスター・ユナイテッドの21-22シーズンはほろ苦いものとなってしまった。経営面でもクラブは、今シーズンの前半で損失額が4470万ポンド(約71億7100万円)に急増したと発表した。
クラブの赤字の主な原因は前年比27%増の5億920万ポンド(約816億5900万円)という大幅支出の増加だろう。今シーズン、ロナウドとサンチョという2人のスターをチームに加えた。サンチョに関しては8500万ユーロもの移籍金がかかっている。
給与支出を除いた人件費の増加は減価償却費に表れており、3月末の減価償却費は前年同期比20%増の1億1320万ポンドとなっている。また、自クラブの選手の放出による損失は1790万ポンドが計上されている。
しかしながらユナイテッドはスポーツ面以外の部分で救われていることもあり、スポーツ面の収入は期待できなくとも、クラブが持つブランド力で相殺されている。
パンデミック後のオールド・トラフォードの解放に伴い、シーズン開幕からの9カ月間(第三四半期まで)マッチデー収入のみで1億8120万ポンドを売り上げたのです。同じ項目の20-21シーズンの同時期には480万ポンドしか収益を得られていない。
一方、第三四半期までの1年間でクラブに最も多くの収入をもたらした項目は商業部門であったことは注目に値する。スポーツ面で低迷していてもクラブとしてのブランドの高さはこういったところで垣間見える。
国内のファンやグローバルなファン層が活かされ、スポンサーシップや広告による売上は前年比8%増の1億9440万ポンドに達した。
さらに、これにはすでに、暗号通貨を手掛けるTezos社がトレーニングウェアスポンサーとして契約した年間2400万ユーロの一部が含まれている。
一方放映権収入は、2021年同期比15%減の1億8120万ポンドで、ユナイテッドの収入項目の2位に浮上した。
ユナイテッドの最高経営責任者であるリチャード・アーノルドは、「我々の収益は、商業分野での強さを反映しておりパンデミックから回復し続けている。このことがクラブへの投資を継続する能力が安定していることを示しているだろう」と述べている。
ユナイテッドの来季に向けての取り組みと”ファンアドバイザリーボード”の役割
このほかにも、ユナイテッドは短中期的な将来に向けた重要な課題に取り組んでいる。この夏には、プレシーズンツアーの一環としてオーストラリア、タイ、ノルウェーを訪れ、データサイエンスディレクターを採用する予定。
また、すでに”ファンエンゲージメントディレクター”を任命し、この代表者はクラブのオーナーであるグレイザー家と直接関係を持ち顧問グループのリーダーとして発言権を持つことができる。
このグループには、ガバナンスモデルの変更の可能性や、スーパーリーグなどの新しいチャンピオンシップへの参加などの側面について議論するほか、すでに最初の調査が始まっているオールド・トラッフォードの拡張計画についてクラブに助言をする役割がある。