スポーツ業界の大手企業(クラブ)は、小売業やスタジアム運営を、ビジネスを最大化するための絶好の機会と捉えている。しかし、多くのクラブはオフィスに必要な人材を揃えているわけではなく、レジェンド社はこの分野でベンチマークされるクラブに動き出すことができた。
同社は、現在世界有数の施設の運営に携わっており、マドリーのスタジアム、サンティアゴ・ベルナベウもそのリストに加わっている。レジェンド社の株主である「シックスス・ストリート」は今後20年間スタジアム事業の収入の30%と引き換えに3億6千万ユーロをレアル・マドリードに支払うことになる。
2008年には、MLBのニューヨーク・ヤンキースとNFLのダラス・カウボーイズが、両フランチャイズのスポンサーシップとホスピタリティの販売を管理する目的で設立した会社だ。2021年、シックスス・ストリートは資本金100%を13億5000万ドルとする取引で過半数の株式を取得した。
レアル・マドリードとレジェンドの関係は、2018年にベルナベウでの商業的機会の最適化についてクラブへの助言を開始したことから発展した。2020年からは、歴史的にアディダスの手中にあったクラブの小売事業を引き継いだ。
同社は自らを「スポーツやエンターテインメントの組織や会場に総合的な改善策を提供することに特化した”プレミアム・エクスペリエンス・カンパニー”」と定義付けている。その事業内容には、大きく6つの柱が存在している。
(1)クラブと協力して販売力を強化
(2)eコマースと実店舗の両方で小売ビジネスの強化
(3)会場の技術的なソリューションを提供
(4)美食を提供するスタジアムのホスピタリティを管理
(5)各事業体のコンサルティングや企画サービスを提供
(6)スタジアムのタイトルスポンサーを実現するための企業とのパートナーシップを模索する役割
レジェンド社は、改装が完了すればマドリーのスタジアムではスポーツ以外のイベントとしても利用できるようになる。2020年の段階では、マドリーのぺレス会長は、施設運営による年間売上高が1億5千万ユーロも増加する可能性があると断言した。
このレジェンド社だが運営に携わっているのはマドリーだけではない。セビージャFCも3〜5年後に3億ユーロの売上を達成する計画の一環として、365日営業できる新しいスタジアムの設計をレジェンドに委託している。
FCバルセロナとアトレティコ・マドリードもそれぞれエスパイ・バルサとワンダ・メトロポリターノに関する調査を同社に依頼している。レジェンド社は、バルセロナが実行する戦略と財務計画の設計、アトレティコに関しては数ヶ月前に新しいワンダ・メトロポリターノのホスピタリティ体験の設計を担当している。
このほか、マンチェスター・シティのエティハドスタジアム、リバプールFC、ローマ、ワトフォードにケータリングサービスを提供、また、マンチェスター・ユナイテッドとは既にオールドトラフォードの改修計画で協働している。
このように販売、スポンサーシップ、ホスピタリティのコンサルティングを行うレジェンド社は、近年でスポーツ界の新しいプロジェクトにビジネスを拡大し続け、トップチームがスタジアムを最大限有効に活用するためのメソッドを与えている。