リーグ1の20クラブの内2020-2021年を黒字で締めくくったのは3クラブのみ。この事実は、フランスサッカーが持続可能でないという、より深刻な側面を明確に物語っている。なぜなら、昨シーズン、そのクラブが失った6億8500万ユーロ(約943億)は、コロナウィルスによる短期的なものではないからだ。
5大リーグのサッカークラブの財務諸表をリアルタイムで集計しているスペイン紙「2Playbook」の市場情報部門2Playbook Intelligenceが抽出したデータによると、過去5年間、フランスリーグ全体では毎年赤字を積み重ねてトータルで17億6000万ユーロに達しているという。
2020-2021年に関しては、2Playbookが調査した40クラブの各財務諸表から明確な特徴が出ている。PSG、オリンピック・リヨン、マルセイユというフランスサッカー界のビッグ3が、大会を史上最悪の数字に引きずり込んだのである。この3クラブで、1部リーグの赤字の63%を占め、4億800万ユーロの赤字となった。そしてPSGだけで2億2,430万ユーロの損失を出した。
BIG3の数字が際立っているのも事実だが、これは3クラブに限らずフランスサッカーリーグで共通していることと言える。実際に昨シーズンで利益を出したのはディジョン(今シーズンからリーグ2)、スタッド・ドゥ・ランス、売却中のASサンテティエンヌの3クラブだがその合計額は230万ユーロを上回らなかった。
リーグ1の主な収入源と放映権問題
リーグ1とリーグ2は、絶えず有望選手を輩出して収益化しているのが一番の特徴ともいえる。このあたりでは、ビジネスとして成立しているケースも多い。しかしコロナウィルス蔓延に伴う移籍市場の停滞で、移籍によって7億3960万ユーロ(2018-2019年)をもたらしていたのが、直近2年間で4億850万ユーロにまで下がった。つまり、クラブはパンデミックによってこの分野の収入45%を失っている。
その他注目すべきは、放映権収入で、21%増の8億3570万ユーロ。しかしパンデミック前の2018-2019シーズンの収入(9億80万円)の収入と比べると完全に回復したとは言えない。リーグ1の特徴としては、クラブの放映権分配による収入の43.3%はBig3(PSG、リヨン、マルセイユ)が占めていることだろう。
また、リーグ1が抱えている問題としては放映権のパートナー企業がなかなか見つからないこと。2020年から2024年のサイクルで年間7億8000万ユーロを拠出する予定だったMediaproが脱退した後、Canal+の脱退の危機により、さらに3億3200万ユーロの損失が発生してしまう。
この事態から脱却するためにリーグ1は年間2億5000万ユーロと引き換えに、ヨーロッパの主要リーグとして初めてAmazon Primeをメインパートナーとして契約した。しかし評価額の下落が顕著で、実際にはこの収益項目も半減している。
商業面では、経済危機により多くのチームが契約の見直しを余儀なくされ、その結果、スポンサーおよび広告からの売上高は5%減の4億5130万ユーロとなった。そして、このビジネスの半分近くをPSGが占めている。
一方、支出は収入を上回るペースで増加している。選手スタッフの給与を含む人件費は、前年同期比9%増の12億ユーロとなった。この点で、昨シーズンのリーグ1クラブのチーム価値は19%も減少している。PSGはその5分の1を占めている。
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