ラ・リーガ

ラ・リーガが各クラブのサラリーキャップを発表した。1部リーグでは10%減の20億4700万ユーロ、2部リーグでは3.5%増の2億5260万ユーロに調整されたが、42チーム中15チームがサラリーキャップを超えている。

ラ・リーガ・インプルソ(ラ・リーガとCVCの契約)に合意しているクラブは、サラリーキャップが少し増加するのだが、各クラブはその増加した分の55%しか使っておらず、中にはその増加分を全く使用していないクラブも存在する。

ラ・リーガ関係者によると、総支出額削減の要因は、昨年5月に一部のクラブが行なった20-21年期の損失見積もりにあるという。本来20-21年期は損失見積もりをより下げる必要があったが、楽観的な見積もりを行ったため21-22年期のサラリーキャップを下げざるを得なくなったのだ。

国王杯 バルセロナ

ただ、非常に厳しい財務リストラの影響で、4億8100万ユーロの損失を記録したFCバルセロナのような例もあり、同クラブは来シーズンに向けて赤字が累積している。この赤字の累積こそがメッシのPSG放出の大きな要因と言われている。

「バルセロナがサラリーキャップを回復させる唯一の方法は、キャピタルゲインや利益を増やすことです」とラ・リーガのコーポレートジェネラルマネージャーは語る。また、「バルセロナは株式会社ではないため、他のチームと違って増資ができない」と同氏は付け加えた。

バルセロナのサラリーキャップは、元々9794万ユーロだったが、フェラン・トーレスやオーバメヤンなどを獲得したことになり、マイナス1億4435万ユーロとなってしまった。サラリーキャップがマイナスということは、収入などの何よりも損失額が多いということだ。


スペイン1部の各クラブ

サラリーキャップのマイナスはバルセロナに限ったことではなく、アトレティコ・マドリード、レアル・ベティス、セビージャFCなどにも影響を与えており、20-21年シーズンには予想以上の損失が発生している。しかし、3クラブとも新たな収入で補うことができたのだ。

アトレティコに関しては、ニューカッスルへのトリッピアー売却などで3330万ユーロを獲得し、一方のベティスは、CVCからの注入の一部を使って530万ユーロを手に入れた。

アトレティコ・マドリード

レアル・ソシエダとビジャレアルは、当初、純資産を使った支出上限額の引き上げを求めていた。これによりビジャレアルは3480万ユーロの増資があったが、夏と冬の移籍市場を経て必要以上のサラリーキャップを得ることができなかった。

結果としてビジャレアルは1100万ユーロ減の1億4800万ユーロ、レアル・ソシエダは13%減(1940万ユーロ)の1億1120万ユーロのサラリーキャップとなった。後者は3番目に多く減少したクラブだった。

ビジャレアル

一方で、バレンシア、ラージョ・バジェカーノ、アスレティック・ビルバオなど、20-21年に予想より損失が少なくなったクラブもある。それぞれ1000万ユーロ、1280万ユーロ、630万ユーロのサラリーキャップ増加となった。バレンシアは、シーズン前半に締結した移籍金および商業契約によるキャピタルゲインから得られる新たな収入により、さらに1670万ユーロのコスト増を計上した。

首位レアル・マドリードは7億3920万ユーロを維持。また、限度額を6%、330万ユーロ増やすことに成功したグラナダCFは、プラッツィ社と契約したメインスポンサーを収入として計上している。

レアル・マドリード

セルタは、150万ユーロの新規収入を得たが、これはドバイを拠点とするファンド「AIXインベストメント」との重要な商業契約締結によるものだという。その他マジョルカとカディスの200万ユーロ増が目立っている。


スペイン2部の各クラブ

スペイン2部では、冬のマーケットの後、各クラブはサラリーキャップを3.5%増加させた。この増加の主な理由は、ジローナの2000万ユーロの増資に関連している。これによりチームコストが540万ユーロ増加し、限度額を2倍の940万ユーロにすることができたのである。

昨シーズン降格したエイバルとレアル・バジャドリードのサラリーキャップはそれぞれ3020万ユーロ、2980万ユーロでトップ、レガネスが2640万ユーロで続く。3クラブとも夏の数字からあまり変化が見られない。

ラ・リーガ

人件費を抑えたクラブで言えば、カルタヘナが92万9000ユーロの削減、アルコルコン、マラガ、そして3部から昇格したばかりのイビサが約50万ユーロの削減を行なっている。

ラ・リーガ全体として、20-21年シーズンの差引残高は4200万ユーロのプラスとなった。最初のパンデミック以降、各クラブは収入額よりも支出額を多くしており、この繰越額と冬の移籍市場での投資額5900万ユーロを加えた今シーズンの支出額は、累積でマイナス1億2400万ユーロとなった。