レアル

ラ・リーガは下部組織で成り立っていると言っても過言ではない。コロナウイルスにより各クラブが厳しい経済状況に直面している中、各クラブの監督は毎年行っている下部組織への投資を最大限に活用することを決断した。

国際スポーツ研究センター(CIES)によると、欧州5大リーグのなかで、21-22年上半期にユース出身選手が最も多く出場したのはラ・リーガであり、総出場時間の17.5%を占めている。

メイソン・マウント

この調査は、所属クラブで少なくとも3シーズンプレーした21歳までの選手の出場時間を分析したもので、2位のプレミアリーグは、ユース出身選手に出場時間の12%しか与えていない。

プレミアリーグは経済力があるため、下部組織からの選手より外部から獲得した選手を中心にチーム作りをすることも少なくない。実際FIFAによると、プレミアリーグは、2021年にラ・リーガの4倍もの金額を国際間の選手契約に費やしているという。

イングランドのユース出身選手の「総出場数」は、ラ・リーガより1試合多い(182試合出場に対し183試合)のは事実だが、プレーする機会を与えられた「選手の数」は少ない。ラ・リーガでは、21-22シーズンの前半戦に出場時間を与えられた選手が520人であるのに対し、プレミアリーグでは479人となっている。

バイエルン・ミュンヘン

リーグ1やブンデスリーガは、プレミアリーグと近い数字となっている。リーグ1では、ユース出身選手が総出場時間の11.6%を占めたが、ブンデスリーガでは10.1%にとどまった。 育成分野で長年、構造的な問題があったセリエAでは、7.4%に急落している。

前出のCIESの報告書によると、世界のサッカー界における才能の出どころはラテンアメリカだという。同地域では、あまり良い条件で選手と契約を結ぶことができないため、選手の価値を高め、ヨーロッパのクラブに売却するという手段をとっている。

FIFAによると、2021年には最大787人の選手が南米サッカーから欧州サッカーに移籍し、総額3億4790万ドル(約402億1200万円)が動いたという。

世界で最もユース出身選手の出場時間が確保されているのは、アルゼンチンリーグで29.4%。それにチリリーグ(25%)、コロンビアリーグ(23.5%)と続く。

リーベルプレート

6位のブラジルリーグ(18.4%)では、チーム作りの面では若い才能が重視される。しかし、成長が速いがゆえに、3シーズンも在籍することなく、欧州に渡ってしまう選手もいる。例えば、レアル・マドリードは、ヴィニシウス、ロドリゴ、ヘイニエルを年齢が上がる前に合計1億2千万ユーロで購入した。

4位と5位には、意外な2カ国がランクインした。オーストラリアリーグと中国スーパーリーグだ。海外からの移籍への支出を制限する厳しいパンデミック抑制政策によって、Aリーグと中国スーパーリーグは、それぞれ20.2%と18.6%の出場時間を自国出身の選手に与えている。

 

年齢別では、21歳以下の選手の起用が目立つのは、ブラジル(9.4%)、アルゼンチン(9.3%)、フランス(9.2%)の3リーグであることがわかった。まさにこの3つのリーグは、海外へ最も多くの選手を売却しているリーグトップ3なのだ。

クラブ別で見てみると、CIESが分析した15リーグの中で最も多くの選手を育成しているチームはボカ・ジュニオールズだ。ボカはユースアカデミーから合計78人を排出しており、ライバルであるリーベルプレートは60人となっている。