昨年の第100回全国高校サッカー選手権兵庫県予選で準優勝を果たした相生学院サッカー部。たった3年でその実績を上げた強豪校・相生学院だが、この度、2006年広島観音高校サッカー部をインターハイ優勝に導いた畑喜美夫氏がジェネラル・マネージャー(GM)に就任することとなった。
畑氏は、現役時代に世代別日本代表に選ばれた実績を持っており、順天堂大学時代は「全日本大学サッカー選手権大会」、「総理大臣杯全日本大学サッカートーナメント」、「リーグ戦」の三冠を達成した。
現役引退後は、広島観音高校と安芸南高校でサッカー部の監督を経験。 先述の通り、広島観音高校ではインターハイ優勝へと導いている。
そんな畑氏が大切にしている考え方。それは「ボトムアップ理論」だ。一般的に日本企業で適用されている「トップダウン」の対となる言葉である。
トップダウンでは、上層部が意思決定を下し、働き手がそれに従って行動する方式である。サッカーに例えると「監督の言うことは絶対」とでも言えるだろうか。
しかし、畑氏は違う。「ボトムアップ理論」を用いて、選手たちに全ての意思決定を委ねるのだ。ここで驚きを隠せないのは、選手による意思決定は何も試合中のプレーに限った話ではないということ。スタメンやトレーニングメニューの決定、さらには「選手監督」という形で選手交代をも率先して行う時もあるという。
このボトムアップを実践する生徒たちがサッカー以外で活躍する場面も多々ある。一つの大きな例は、2018年の西日本豪雨が起こった時。普段から自分の意思で率先して動く選手たちは、誰よりも早く被災地へ出向し、支援を行なったという。まさにボトムアップ理論の真骨頂だろう。
このように、ボトムアップ理論を用いて様々な実績を残してきた畑氏が、相生学院サッカー部のGMに就任することになる。上船総監督も「自主性」を大切にしており、そこの考えが合致したのだ。今後の相生学院サッカー部の活躍に期待しよう。