キーパー

一昔前まで、キーパーといえばピンチの場面でセーブするという役割こそが一番キーパーの使命だった。現在でもピンチを凌ぐことが大きな仕事であることには変わりないが、一方で11人目のフィールドプレーヤーとして扱われることも多くなってきた。

このようなキーパーの概念を変えたのは、ドイツ代表GKマヌエル・ノイアー(バイエルン・ミュンヘン)だろう。ブッフォンやカシージャスでは考えられないような攻撃的なスタイルで、ゴールマウスから離れてピンチを防ぐ場面もよく見られる。また、もう一人のDFとしてビルドアップに参加することも多い(このようなGKをスイーパーキーパーと呼ぶ)。

ノイアーが世界的な知名度を得て以降、ゴールキーパーの能力の一つに足元の技術も求められるようになった。例えば、テア・シュテーゲン(バルセロナ)やエデルソン(マンチェスターC)も足元の技術があり、パス重視のチームを最後尾から支える。

ところで、パスの中にもロングパスとショートパスがあるが、強豪クラブのGKは後方から短いパスを繋ぐ場面が多く、ロングパスの割合が低いというデータが出ている(※)。チームのプレースタイルにもよるが、キーパーも最終盤から攻撃を支えているという証拠だろう。

※例えば、アトレティコ・マドリードのオブラクは、ロングパスの割合が49.2%となっているため、一概には言えない。

今回は、欧州5大リーグの中で1試合あたりのロングパスの割合が最も低いGKたちを5人ご紹介しよう。(参照:CIES)


1試合あたりのロングパス割合が最も低いGKたち

プレミアリーグ

それでは、21-22年ロングパス割合が低い欧州5大リーグのGKたちを見ていこう。(対象は国内リーグで1000分以上プレーしたゴールキーパーのみ。)

5位タイ アリソン(リバプール)

 

ロングパス率:16.6%


リバプールの絶対的守護神であるアリソン・ベッケル。21-22年はこれまで35試合に出場し、20試合のクリーンシートを達成している。1試合あたりの平均パス数は32.9本で、そのうち5.5本がロングパスとなっている。

5位タイ パウ・ロペス(マルセイユ)

 

ロングパス率:16.6%


21-22年にASローマからマルセイユに期限付きで移籍し、正ゴールキーパーとして活躍したパウ・ロペス。2022年1月には買取オプションが実行され、22-23年からマルセイユへ完全移籍することとなった。1試合あたりの平均パス数は39.8本で、そのうち6.6本がロングパスとなっている。

4位 ノイアー(バイエルン)

 

ロングパス率:14.9%


攻撃的ゴールキーパーの先駆者とも言えるマヌエル・ノイアー。怪我で長期離脱を余儀なくされた17-18年を除いて、06-07年からシャルケとバイエルン・ミュンヘンで正ゴールキーパーとして活躍する。1試合あたりの平均パス数は39.4本で、そのうち5.9本がロングパスとなっている。