ピケ

FCバルセロナの現役センターバックで、スペイン代表のレジェンドであるジェラール・ピケ。サッカー選手として超一流の実力と実績を誇るが、実はビジネスにも力を入れているのをご存知だろうか。

最も知られているのは投資会社のコスモス社で、スポーツを中心とした様々なプロジェクトの推進や投資に力を入れている。例えば、テニスのデビスカップをはじめ、eスポーツなどにも関わっている。ピケは、そんなコスモス社のCEOだ。

今回は、そんな”ビジネスマン”ピケが展開する事業を紹介していこう。

ピケが展開する事業まとめ

ピケ

それでは、ピケが行っている6つの主な事業を見ていこう。

テニス事業

デビスカップ

ピケが最初に行ったコスモスでの大きな事業は、サッカーではなくテニスだった。2018年頭にコスモス社とデビスカップの関係が報じられ、2019年から男子テニスの国別対抗戦である「デビスカップ」を主催することに。長年同じ形式で行われてきた大会に革命を起こそうと、新モデルを提案したのだ。

具体的には、従は1年かけてトーナメント形式で優勝を争っていたが、移動も考慮し、1週間で決着をつける方式へと変化させた。2021年は、4都市で第一ラウンドを行い、5つ目の都市で行われる決勝戦への出場権を争うというフォーマットだ。

2019年の第一回大会は、スペインのマドリードで開催された。2019年には、ピケと楽天の三木谷氏が25年間で25億ユーロの支援を行うと発表されている。

関連記事:ピケのコスモス社が主催するデビスカップ2022のフォーマットが変更

サッカー事業


次に紹介するのは、ピケの本業であるサッカーと関連する事業だ。ピケは2018年末にコスモス社と通してプリメーラRFEF(スペイン3部相当)に所属するFCアンドラを買収し、クラブ会長に就任することに。

ビッグクラブで稼いだお金を一部サッカー界へ還元したいという思いから、経済面に恵まれていなかったFCアンドラを選んだという。実際、コスモス社はアンドラの全ての負債を解決している。そして、バルサ時代にキケ・セティエンのアシスタントだったエデル・サラビア氏を監督に添えた。

また、FCアンドラにはメッシやセスク・ファブレガスといったピケのかつての戦友も株主として携わっている。

放映権事業

セリエB

スポーツの世界で最もお金の発生する分野の一つである放映権。2021年の夏、ピケはスペイン国内におけるフランスリーグ1の放映権を購入した。2021年夏といえば、メッシがPSGに移籍したタイミングだ。

他には、コパアメリカ2021決勝のアルゼンチン-ブラジル戦、セリエA、セリエBなどの放映権も獲得している。

しかし、バルサコーポレートという、FCバルセロナの複数事業を統括する子会社への入札は、クラブの規約により出資できない状態だ。

また、コスモス社は放映権を獲得するだけにとどまらず、eスポーツ界隈で有名なストリーマーであるイバイ・ジャノスのTwitchチャンネルで放送する契約を結ぶなど、多方面にビジネスを展開している。

映像作成事業


ドキュメンタリーの作成などを行う『コスモス・スタジオ』。サッカー界の主要な人物に関連するドキュメンタリーを立ち上げることに専念した。

表舞台に大きく取り上げられたのは、グリーズマンがバルセロナからアトレティコ・マドリードへ移籍することになった際の「The Decision」というドキュメンタリー。また、バルサのドレッシングルームでの日常を映した「Matchday」も有名な一作だ。

eスポーツ事業

イバイ・ラノス

近年徐々に成長を見せるeスポーツ。ピケは、前出のイバイ・ジャノスと共に「リーグ・オブ・レジェンド」というゲームのeスポーツチーム「KOI」を設立した。スポンサーにはDisney+やサムスンなどが入っている。

他には、イバイ・ジャノスと協力して、「アストラリス・ストームブリンガー」というチームにゲーム1部リーグの出場権を30万ユーロで獲得するなどの事業も行った。

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NFT関連事業

ソラレ

コスモス社はさらにNFT事業にも投資を行っている。2022年以降、勢いが増してくると巷で言われているNFTだが、ピケは2020年にグリーズマンらと共にサッカーファンタジーゲーム「ソラレ(Sorare)」に出資を行った。

ソラレとは、仮想通貨イーサリアムをベースにしたオンラインカードゲーム。現実世界の選手の活躍により、ゲーム内のその選手の価値が上下する。そのため、ムバッペやハーランド、ペドリなど、現実世界で安定した結果を残す若い選手は、そもそものカードの値打ちが高く設定されている。

ソラレ

さらにコスモス社は、カシージャス、ファン・バステン、ネドベド、ロナウド、マラドーナ、クライフなどの50人分の「レジェンドカード」と呼ばれる商品を独自に開発するという契約も結んでいる。

また最近では、NFTをベースとしたビデオゲームを開発するスウェーデン企業「Goals」に1500万ドルの出資を行ったという報道もあった。同ゲームは、ゲーム内で稼ぐことができる「プレイトゥアーン」の形式が採用される予定。発売は、2〜3年後と言われている。

関連記事:サッカーファンタジーゲーム「ソラレ」担当者が語るNFTの現状と今後

まとめ


ここまで、ピケが行っている様々な事業を紹介してきた。サッカー選手はキャリアが短く、引退後のことも視野に入れる必要があるが、その点においてピケは上手くやりくりしていると言えるだろう。

今回紹介した事業以外にも、サングラスや飲料水ビジネス、不動産ビジネスなどに着手している(全てがコスモス社経由ではない)。不動産ビジネスでは、父親を通して、高級ホテルを建設するためにスペイン南部マラガの土地を購入している。