高いパフォーマンスを発揮するためには、ピッチ上の芝の質が、選手の技術力と同じくらい重要な意味を持つことがある。
これは今に限ったことではない。現在の技術では、ゲームに関わるすべての変数を正確に調査することが可能であり、その中で芝生が重要な要素であることが明らかになっている。
今回は芝生の種類ごとに特徴を紹介していく。
天然芝
天然芝はプロサッカーのピッチで最もよく使われる芝生で、このタイプの表面では、より多様なペース変化を生み出すため、最もボールコントロールの難易度が高い。FCバルセロナなどのクラブが導入したことでハイブリッドピッチが脚光を浴びているが、選手にとってはまだまだ天然芝が一番好まれている。
ただし季節によって芝生のコンディションが左右され質が低下することもある。選手の怪我にも繋がりかねない。
特徴
熱吸収
温度変化の低減
光合成による空気清掃
SO2、NO2などの汚染物質を吸収
環境と相互作用
メンテナンスコストが高い
人工芝
人工芝は、天然芝に比べて均一なため、きれいなボールさばきと予想しやすいバウンドを可能にしている。このタイプのピッチは衝撃を吸収しやすく、ボールの回転を活かしやすい。
当初、人工芝のピッチは硬くて不快なものだったが、技術革新により、かつての評判とは異なり、特徴の異なった人工芝となっている。FIFAの認証を受けている人工芝のピッチすら多くある。繊維が柔らかいため、プレーヤーが滑っても皮膚を傷つける心配がない。このシステムには、次のような利点がある。
特徴
垂直方向の水濾過により、ゴムのロスが少ない
雨が降っても大丈夫な高い排水能力
アスファルト層がないため、地温が低い
高密度化により、芝生の耐久性が高い
芝生が剝がれたり、盛り上がったりしない
100%フラットで均一
ハイブリッド芝(人工芝+天然芝)
天然繊維と人工繊維を混ぜ合わせ、両方の芝生から最高のパフォーマンスを引き出すハイブリッドピッチは、最高レベルのクオリティを備えている。その結果、ほぼ100%天然芝となり、メンテナンスの手間が省け、選手の筋肉への負荷をある程度吸収できるため、ケガのリスクも軽減される。
実はこれは1990年代半ばにイギリスのハダースフィールドという町で発明された。当時サッカーとラグビーの試合が同じ期間で行われるため、その消耗に耐える強度のあるピッチが必要となり実施された。
しかし技術が進化し始めたのは、ワールドカップ南アフリカ大会の時である。前述したようにバルセロナのカンプノウでは、17-18シーズンからこのハイブリッド芝が採用されている。
特徴
より多くのプレー時間を確保
より正確なボールの跳ね返りを実現
ケガのリスク軽減