ナセル・アル・ケライフィ

直近で言うと2022年にカタールで開催されるワールドカップだろうか。2010年にカタールW杯開催が決定して以来、アラブ諸国は欧州サッカーに多大な投資をしている。

これまでのところ、クラブの購入(現在、世界中で20以上のクラブが中東諸国の手に渡っている)、スポンサーシップ、増資、施設投資などの間で、それら全てを含めて欧州サッカーへの参入には、60億ユーロ(8300億円)以上の費用がかかっている。

その象徴ともいえるクラブ、パリ・サンジェルマン(カタール)とマンチェスター・シティ(UAE)には、それぞれ約25億ユーロの資金が投入されたのである。次に考えられるのは、サウジアラビア公共投資ファンドが率いるコンソーシアムが買収したニューカッスルであり、ミランのインベストコープ(バーレーン)のファンドが11億ユーロの評価額で交渉に参加する可能性も忘れてはならないだろう。

パリ・サンジェルマン – カタール


カタールのタミーム・ビン・ハマド・アル・サーニー首長の投資庁の出先機関であるカタール・スポーツ・インベストメント
が、過去10年間で約30億ユーロをかけてPSGを買収したのは2011年のことだった。カタール航空や観光局など、カタールの企業や公共団体からのスポンサーが、年間収益を5億ユーロの大台に乗せるのに大きく貢献している。

一方、PSG会長のナセル・アル・ケライフィも、並行してサッカー界で躍動している。また、スーパーリーグを巡る抗争後、ECA会長に就任し、UEFA会長アレクサンドル・チェフェリン氏の最も信頼する盟友となった。

マンチェスターシティ- UAE


さらに遡ること2008年には、シェイク・マンスール・ビン・ザイード・アル・ナヒヤンがアブダビ・ユナイテッド・グループを通じて買収したマンチェスター・シティが話題となっていた。初期の頃は、エティハド航空との4億ユーロのメガ契約を皮切りに、10億ユーロ以上の資金注入や”スポンサーシップ”によって、圧倒的な資金が確保されていた。

この作戦がもたらした真の革命は、中国のChina Media CapitalとCitic Capital、アメリカのファンドSilver Lakeが少数株主として出資し、50億ドルの評価を得た持ち株会社シティ・フットボール・グループの誕生だった。このフットボール・ネットワークには、現在、世界中から約10のクラブが集まっている。

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