1993年にエレクトロニック・アーツ社が発売を開始したビデオゲーム『FIFA』は、2022年秋頃に発売予定のFIFA23が最後になる。ニューヨーク・タイムズ紙によると、ここ数カ月の交渉がうまくいかなかった模様。ゲームは『EA SPORTS FC』と改名され、FIFAというネーミングはなくなるという。
これによりEA SPORTSは、サッカー界の300以上のパートナーとの協力のもと、成長を続けるコミュニティに対して世界最大のスポーツ体験を提供することが可能になる。
実は、EA SPORTSは、サッカーゲームのネーミングを維持するためにFIFAとの契約を延長するかどうかに関して、昨年秋に商標登録の手続きを開始していた。このゲームは過去20年間で200億ドル以上の収益をあげているが、開発会社はFIFAに1億5000万ドルを支払っていると推測されている。
ただ、UEFAやプレミアリーグ、ラ・リーガ、ブンデスリーガ、セリエA、MLSとの提携やそれらの名称、選手やエンブレム、ユニフォーム、スタジアムの名称などの使用許可は引き継がれるという。
FIFAは現在、1億5千万人以上のプレイヤーがプレイしており、その市場価値は20億ドルと推定されている。昨年の総売上高を56億ドルで締めた開発会社に、どれだけの収益をもたらすかは不明だ。
一方でFIFAは、パブリッシャーや投資家と共に2024年に向けて別のサッカーゲームの開発に取り組んでいる。
eスポーツチームの評価額と現状
「旧FIFA」は、近年eスポーツとしても親しまれており、FIFA 20の世界大会では賞金総額300万ドルといった、以前では考えられないような額がゲームに支払われていた。
ところで、FIFAに限らず、近年はeスポーツが大きな盛り上がりを見せている。特にコロナウイルスが蔓延し始めてからは評価額が急騰しているという。
フォーブスの最新レポートによると、この分野の上位10社の時価総額は現在35億ドルを超えているとのこと。また、2020年までトップクラブだったCloud9(C9)やTeam Liquidは、ビジネスモデルを多様化した事業体にポジションを奪われつつある。
各組織の平均評価額は、2021年には3億5300万ドルとなった。昨年は、元イングランド代表MFベッカム氏のチームである「Guild Esports」のデビューに続き、最近2つの事業体が株式公開を果たした。MAD LionsのオーナーであるOverActive MediaとFaZe Clanだ。後者は業界トップ10に入っている。
ただ、最新の決算によれば、両者とも大きな損失を出しているという。前者は1491万ドルの赤字で2021年を終え、後者はSpac経由で10億ドルを調達したにもかかわらず、3690万ドルの赤字となった。
eスポーツで必要な要素
近年はビジネスモデルの多様性が必要となってきており、ランキング上位の組織はそれを実行できている。eスポーツで最大のスポンサー契約を結んだTeam SoloMid(TSM)は、評価額が32%増の5億4000万ドルとなり、1位を死守した。
収益面では、TSMは昨年、5600万ドルの収益を達成した。最大のスポンサーを持ちながら、選手トレーニング用のアプリなどを駆使するなどテクノロジーに力を入れている。一方、100 Thievesは売上高3800万ドルで、ファッションとエンターテインメントを扱ったライフスタイルブランドの展開に注力。G2については、売上高が3100万ドルとなり、米国以外では最も評価が高く、売上高も多い。
評価額トップ10
TSM 5億4000万ドル
100 Thieves 4億6000万ドル
Team Liquid 4億4000万ドル
FaZe Clan 4億ドル
Cloud9 3億8000万ドル
G2 Esports 3億4000万ドル
Fnatic 2億6000万ドル
Gen.G 2億5000万ドル
NRG 2億4000万ドル
T1 2億2000万ドル