10月21日、オークランドで開催されるFIFA理事会に合わせ、サッカー界の選手移籍の世界が大幅に変わることになる。目的は、過剰なコミッションに歯止めをかけること、選手の育成クラブを定義して守ること、未成年者を保護することだ。
代理人のコミッション
まずは代理人のコミッションについて。
欧州5大リーグでは9月頭に移籍市場が閉鎖されたが、サッカー選手の多くは移籍のエージェントと契約しており、その代理人を介して、クラブと契約を結ぶ。
特に移籍する際にはクラブ間の移籍金もそうだが、代理人のコミッションも移籍のオペレーションが実行されるかどうかの重要な要素になってくる。代理人業を営む上でもエージェントはできるだけクラブから多くコミッションを取るように交渉するのだ。
しかし、高すぎる代理人費用はクラブを悩ます種でもあり、FIFAは高額すぎる手数料に対して何かしらの手を打とうとしているのは確か。
手数料については、FIFAが、売却クラブの代理人には移籍金総額の10%、選手の代理人には選手年俸の3%、購入者の代理人には選手年俸の3%を上限として設定している。自由競争のためのこの新しいルールの合法性については、EUのルールは不明確である。
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選手の所属クラブ
次に選手の育成クラブについて
スペイン紙『Marca』によると、2019年は70億ユーロ相当の移籍があり、そのうち6800万ユーロが育成クラブに、6億5400万ユーロが代理人に支払われた。
育成クラブとは、15歳から3年間続けて選手を抱えるクラブのことで、基本金銭を受け取らないことが多い。
ただ2023年の夏からは状況が変わり、FIFAが「クリーニング・ハウス」を通じて移籍を管理することで、これらのクラブはすべて自動的に公正な分配を受けられるようになるという。
未成年選手の保護
最後に未成年選手の保護について。
2023年7月以降、未成年選手またはその後見人に対するサッカー代理人業務に関する打診および代理人契約の締結は、未成年選手がプロ契約を締結できる年齢(EUでは16歳)に達するまでの6カ月間にのみ行うことができるようになる。
また、この方法は、事前に法定代理人の書面による同意が得られていることが必須。書類に署名した後は、両者間の契約上および金銭上の関係は、FIFAが定める原則に従わなければならない。
現時点でFIFAの規則により基本的に未成年選手の国際移籍は禁止されており、18歳以降でないと認められないということを念頭においていただきたい。
ただし以下の例外が認められている。
①選手の両親がサッカーに関係のない理由で新クラブの本拠地となる国に移住した場合
②移籍が欧州連合または欧州経済地域の領域内で行われ、選手が16歳から18歳の場合
③選手の自宅が国境から50km以内にあり、海外のクラブも50km国境から以内にある場合
※②に関しては、移籍先クラブは次の最低限の義務を果たす必要がある。
1. 選手に、国内最高水準に適応するサッカートレーニングまたはコーチングを提供すること。
2. 選手に学校教育が保証されること。
3. 選手が可能な限り最善の方法で新チームに慣れるため、必要なすべての手順を踏むこと(家族やクラブの宿泊施設での最適な生活環境など)。
4. 選手は国境から50km以内の場所に自宅があり、新クラブも国境から50km以内の場所にあること。選手の自宅からクラブまでの距離は、最大で100kmとする。
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