欧州5大リーグ

2022年2月、データまとめサイト『statista』が欧州ビッグ5におけるシーズンごとの収入推移を発表した。

※21-22年はシーズン終了前時点での見込み額

ご覧の通り、プレミアリーグが他の4リーグを圧倒していることがわかる。最も差のあるシーズンだと、2位のリーグの2倍ほど多い。

一方で、ラ・リーガ、ブンデスリーガ、セリエAの3リーグは混戦状態が続いている。特に09-10年までは順位が激しく入れ替わっており、いかにリーグ同士のレベルが拮抗していたかが分かる。ちなみに、90年代後半は2位がセリエAだった。

ところで、収入が増えることによるメリットは何なのだろうか。それは、選手獲得や年俸に資金を費やせるということだ。現に世界トップのリーグであるプレミアリーグに属する各クラブは、豊富な資金を用いて優秀な選手を獲得している。

レベルの高い選手が集められるとどうなるか。必然的に試合のレベルが高くなり、スタジアムに訪れるファンが増える。各クラブは、それによって興行収入や広告収入を増やすこともできるのだ。

ではなぜプレミアリーグがこのように資金に困らないリーグになることができたのか。答えは「テレビ放映権」にある。例えば、16-19年のサイクルで国内放映権を約50億ポンド、海外放映権を約30億ポンドで販売していた。

プレミアリーグでは、このテレビ放映権から得られる資金が各クラブに分配される。50%は平等に、25%は各年度のリーグ最終順位に基づいて、そして残りの25%はテレビで放送される試合数に応じて支払われる。結果的にビッグクラブの方が収入が多くなることには違いないが、下位クラブでも一定額を懐に入れることができるため、大きく苦しむことはない。

このような仕組みが作り上げられたのは、1992年のプレミアリーグ創設時だという。プレミアリーグは、各クラブ単位ではなく、リーグを一団体として成長させようとしていたのだ。この取り組みの結果、収入面で他リーグを大きく突き放すこととなった。

18-19年の例を見てみると、一番多く受け取っているマンチェスターシティが1億5000万ユーロ。最も受取額の少なかったハダースフィールドが9700万ユーロで、差は5500万ユーロとなっている。

一方でラ・リーガでは、バルセロナやレアル・マドリードが1億6000万ユーロ、アトレティコ・マドリードが1億2000万ユーロ、その他のクラブが1億ユーロ以下となっており、「ビッグクラブとその他クラブ」という構造になっていた。

このように欧州5大リーグの中でも大きく差が開いている現状だが、ラ・リーガはプレミアリーグを倣って、放映権収入を上手く各クラブに分配しようとしている。またフランスリーグアンもCVCの参入がほぼ決定的になっており、PSGの完全1強状態からバランスの取れたリーグになる可能性も十分にあり得る。