BoostUp

こちらの記事は後編です。前編はこちらからご覧ください。

1. ハビエルさんはBoostUpの中では主にどのようなことをされているのでしょうか。また、どのような選手と直接仕事をされているのでしょうか。

私はBoostUpのディレクターであると同時に、チームの分析担当の一人でもあります。

私はディレクターとして、私たちが行うすべての分野の同僚の仕事を監視し、同僚のアナリスト、栄養士、フィジカルトレーナー、そして選手と直接コミュニケーションを取っています。

アナリストとしては、ジョン・ルクミ、オスカル・エストゥピニャン、アルナウ・コマス、フランコ・セルビといった選手を担当しています。

また、最近エクアドル代表の選手としてカタールワールドカップに参加したゴンサロ・プラタ(GS全3試合にスタメン出場)とも一緒に仕事をしています。

レアル・バジャドリーと二人三脚で、栄養管理や体調管理、ビデオ解析などを行い、ベストコンディションでワールドカップに臨めるよう配慮したのです。

2. アルナウ・コマスは2022年11月にU-21スペイン代表としてU-21日本代表と対戦しましたが、試合に向けて彼とどのような連携を取ったのか教えてください。

アルナウ・コマスにとっては、U21代表チームへの初招集であったため、とても嬉しさを感じると同時に、彼のために仕事ができることを誇りに思います。

アルナウとは2年半前から試合前の映像解析で一緒に仕事をしており、とても良い関係です。実は、U21代表に招集されたことを知らせてくれたのは彼自身でした。

ルイス・デ・ラ・フエンテ(当時のU-21監督、現A代表監督)は試合前の分析に力を入れており、グループとして日本代表に関するビデオをたくさん見たとのことでした。

そのため、対峙する可能性のある日本人ストライカーの詳細な情報を欲しがっていました。

普通は英語でも他の言語でも代表メンバーを参照できるのに、日本語だと本当に複雑で、言語のせいで分析が難しい試合だったというのが正直なところです。

幸い、私には日本サッカーを知る人脈があり、招集の情報を得ることができました。

ここから私の仕事が始まるのですが、「Wyscout」というツールを使って、選手やチームのあらゆる情報、映像などを入手することができます。

対峙する相手FW選手、普段の動き、弱点などを分析し、それらの情報を映像と文章の両方で用意し、ビデオ会議でアルナウにプレゼンするのです。

試合はスペインが2-0で勝利し、アルナウは90分を通してプレーしました。今シーズンも非常に良いレベルでプレーしており、これからさらに選手として成長していくことでしょう。

2.1. ルイス・デ・ラ・フエンテは現在、スペインA代表の監督を務めています。アルナウも将来、呼ばれる可能性があるのではないでしょうか。

そうですね、必要な素質とメンタリティーは持っていると思います。彼はとてもプロフェッショナルな選手で、自分を大切にし、一生懸命に働き、とても謙虚…人間として100点満点です。

どこまでやれるか、見ものですね。今シーズン、彼は大きな飛躍を遂げました。キャプテンとしてチームの根幹を担っていたバルサBを離れ、スイスのバーゼルでプレーすることになったのです。

このスイスリーグはヨーロッパで最も強いリーグのひとつというわけではありませんが、通常ヨーロッパの大会でプレーしているので有名なチームです。

彼の決断にはとても驚きましたが、彼は信じられないようなレベルでプレーしてますし、ディフェンスのリーダーとしてほとんどすべての時間をプレーしています。

3. 日本人選手と一緒に働いてみたいですか?

はい、もちろん。実際、私たちはアジアを除くすべての大陸の選手と仕事をしたことがあります。英語を通じて、スペイン語圏以外の選手たちとも連携しています。

相手が日本語しか話せない場合は、やや難しいかもしれませんが、色んな手段で必ず解決できると思います

サッカーにおけるアジア大陸は、これまで少し知られていない存在でしたが、最近は飛躍的に成長しており、今回のカタールW杯でもそのレベルの高さを見ることができました。

グループリーグを突破したのは3チームで、日本だけでなく、韓国、オーストラリアも素晴らしいプレーを見せてくれました。

このインタビューを通じて、興味を持たれた選手やクラブがあれば、ぜひお声かけください。

日本の試合はすべて見ることができましたが、一番驚いたのはチーム力です。メンタリティーが非常に良いチームで、決して諦めず、ピンチの時でも常に勝負を挑んできました。

ドイツ戦、スペイン戦は、劣勢の状態からひっくり返しましたし、ラウンド16で敗れたとはいえ、クオリティの高い選手が揃っているトップチームです。

3.1. 最近のカタールワールドカップで衝撃を受けた選手はいますか?

以前、1シーズン半、ゲンクをよく分析していましたので、個人的には伊東純也が好きです。 伊東がゲンクに残り、ビッグクラブに移籍しなかったことに、私はとても驚きました。

なぜなら、彼は長年にわたってゴールとアシストという形で非常に高いパフォーマンスを示し、しかもそれほど若くはない選手だからです。

上下動ができる選手で、爆発力があり、得点力もある。ビッグクラブが彼を獲得しないことに非常に驚きました。

もう一人、忖度なく気に入ったのは鎌田大地です。ブンデスリーガのフランクフルトで4シーズンプレーし、今シーズンはチャンピオンズリーグも戦っています

昨シーズンはヨーロッパリーグで優勝と、チームの中心選手として活躍しています。

これは、私が先ほど言った、日本の進化を示すものです。数年前までは、欧州でプレーする日本人選手は少なかったのですが、今回のワールドカップでは、11人中8人近くが欧州でプレーする選手としてスタメンに名を連ねています。

4. 最後に、BoostUpが一緒に働く選手たち、そしてサッカー界全般に伝えたいことは何でしょうか?

私たちのプロ意識、プロジェクトに取り組む意欲、努力、熱意を選手たちに伝えていきたいですし、これからも成長していきたいと思っています。

BoostUpを構成するスタッフは皆、サッカーに情熱を持っており、若いながらも多くの経験を積んできた人たちです。また、やりとりやコミュニケーションにおいて、親密さを示すように心がけています。

BoostUpで行っていることが知られ、日本に広まっていけば幸いです。