ブランドが増え、どんどん投資されても、ナイキvsアディダスという構図は覆すことができない。欧州5大リーグでは、テクニカルスポンサー契約の35%をナイキとアディダスが依然として占めている。
2021年から2022年にかけて、5大リーグで、アディダスが15であるのに対し、ナイキは20であった。カストーレなどの新ブランドが登場し、プーマやカッパが再び勢いをつけてきているが、2大巨頭に未だ食い込めていない。
欧州5大リーグの98クラブは、今シーズン18ブランドによってユニフォームが提供されている。しかし、すべての1部リーグに進出しているのは、ナイキ、アディダス、プーマ、カッパの4社だけだ。
彼らを追いかけるマクロンは21-22にプレミアリーグ(22-23からはプーマに代わってクリスタル・パレスのテクニカルスポンサーになる)に、ホマはリーグ1に進出できていない。また、10件以上契約しているのは5つの会社だけしかない。
下のデータからわかるように半数以上の企業がテクニカルスポンサーとしてせいぜい2つの契約しか結べていない。このことから、サッカー界でユニフォームをクラブに提供するためには非常に厳しい競争を強いられ、また高い投資が伴うということがわかる。クラブが要求する手数料の増加やクラブの魅力の喪失を考えると、投資に対するリターンは非常に複雑なものとなっている。
大規模な多国籍企業であるナイキやアディダスなどでは他企業から契約を奪い取れるような経済力を保持しているが、そんな中で地元企業は投資の多様化を図ることが難しい。
セリエAやリーグ1ではよく見られていることだが、イタリアでは、20クラブに対して10ブランドがテクニカルスポンサー契約を結んでいる。そのうち5ブランドがイタリア発祥のブランドとなっている。SCCナポリのキットを引き継いだエンポリオ・アルマーニ、アチェルビス、ゼウスがそれぞれ1チームずつにユニフォームを提供している。
例外はカッパとマクロンで、彼らは、ナイキとアディダスが市場を独占しないように市場に入ることに成功した。また、これら2社はイタリア企業で、初めてテクニカルスポンサーにおいて国際化に成功した企業でもある。サッカー以外にもさまざまなスポーツでも存在感を示している。
フランスではパトリックとルコックスポルティフが活躍している。ただし国外にはテクニカルスポンサーとして未だ進出できていない。
ブンデスリーガは、興味深い特徴を持っている。ドイツはアディダスやプーマの国で、その他にもウールスポーツやヤコなどのローカルブランドがある。特徴的なのが現地企業のプーマが3件の契約しか結んでいない中、アメリカの本拠地を置くナイキが7件の契約でドイツ市場で大きく羽を広げていることだ。
ラ・リーガとプレミアリーグのブランド事情として興味深いのは、参加企業の多さで、それぞれ8社、9社となっている。しかも、そのほとんどが国内企業ではない。
プレミアリーグではアンブロや新参のカストーレは、ナイキやアディダスと競いながら、またホマ、ヒュンメル、カッパ、プーマの勢力拡大を防ぐために、多額の投資を強いられている。