マンチェスター・ユナイテッド ヴァラン

2012年夏の移籍市場以降、プレミアリーグは欧州サッカー界で最もお金を使い、最も利益が得られていないリーグとなっている。

国際スポーツ研究センター(CIES)のデータによると、欧州5大リーグで最も収支バランスの悪いクラブはマンチェスターUで、10億7500万ユーロ(約1418億円)のマイナスとなっており、全クラブの中で唯一の10億ユーロ(約1319億円)超えだ。内訳は収入が4億7000万ユーロ(約620億円)、支出が15億4500万ユーロ(約2038億円)。

続いて、2位がマンチェスターCで9億8400万ユーロ(約1298億円)、3位がパリ・サンジェルマンで9億4100万ユーロ(約1242億円)、4位がバルセロナで6億5000万ユーロ(約858億円)、5位がアーセナルで5億8300万ユーロ(約769億円)のマイナスとなっている。トップ5のなかにプレミアリーグから3クラブが入っている現状だ。

メッシ PSG

さらに広げてトップ20をみると、なんとプレミアリーグから14クラブがランクインしている。そしてなんと、プレミアリーグのなかで収支がプラスになっているのは、今シーズンから1部でプレーするブレントフォードだけだ。

欧州5大リーグでは、全98クラブの内半分以上である52クラブがマイナス収支となっている。

一方、プラス収支のクラブの中で最も多額なのはフランスリーグ1の前年王者リールで、3億4900万ユーロ(約461億円)のプラスとなっている。続いて同じリーグ1のリヨンが2億4700万ユーロ(約326億円)でプラス収支第2位となっている。

また、それ以外にもフランスリーグ1の収支バランスは比較的安定しており、マイナス収支となっているのはPSG、マルセイユ、ニースのみだという。


ここ10年の移籍金支出ランキング

マンチェスター・シティ グリーリッシュ

ここまでは収支バランスを元に見てきたが、支出単体で見てみるとどうなのだろうか。支出が一番多いクラブは、収支バランスで2位だったマンチェスターC。10年間で16億9900万ユーロ(約2241億円)の移籍金を使っている。

同クラブが最も多額を費やした選手は、2021年に加入したグリーリッシュ。クラブ史上初の1億ポンド(約156億円)が支払われ、それまでトップだったデブライネの6840万ポンド(約105億円)を大きく更新した。

移籍金支出ランキングの2位以降は、バルセロナ(16億3000万ユーロ=約2151億円)、チェルシー(16億1400万ユーロ=約2129億円)、マンチェスターU(15億4500万ユーロ=約2039億円)、ユベントス(15億4200万ユーロ=約2035億円)となっている。

トップ10で見てみると、9位のアトレティコ・マドリードは、11億100万ユーロ(約1453億円)を費やしているものの、収支バランスは1億600万ユーロ(約140億円)のマイナスと他クラブと比べて堅実なクラブ運営をしていると言える。10億ユーロ(約1319億円)超えの補強をしているクラブの中では、一番収支バランスが落ち着いている。


ここ10年の移籍金収入ランキング

チェルシー

最後に移籍金による収入ランキングを見ていこう。最も選手売却に成功しているといえるクラブはチェルシーで、12億100万ユーロ(約1585億円)の移籍金による収入を得ている。最近ではフランス代表DFクルト・ズマを3378万ユーロ(約45億円)でウェストハムに売却した。

チェルシーに次いで移籍金収入が多かったのは、ASモナコ。11億400万ユーロ(約1457億円)の収入を得た。そしてこのクラブの注目すべき点は、プラス収支(8600万ユーロ=約135億円)であること。いかに選手をうまく育て上げて高値で売却しているかが分かる。

トップ10には、収支がプラスのクラブがもう一つある。ブンデスリーガのドルトムントだ。8億9200万ユーロ(約1396億円)と全体で7番目に高い移籍金収入を得ている。

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※ユーロは2022年2月9日現在のレート