カタールワールドカップは劇的な結末を迎えた。アルゼンチンが前半の内に2点を先取するも、後半に怒涛の連続ゴールでフランスが追いつくと、そのまま延長戦に突入する。
延長前半はスコアが動かなかったが、延長後半にきれいな崩しからメッシが右足で勝ち越しゴールを決めた。この瞬間、ほとんどの人はアルゼンチンが勝利すると思っただろう。
しかしただでは終わらないのがワールドカップ決勝。その10分後に、アルゼンチンがペナルティーエリア内でハンドを犯し、フランスにPKが与えられる。
絶好のチャンスをエムバペが落ち着いて決め、フランスが土壇場で同点に追いついた。
その後は両者が何とか耐えきり、2006年以来3度目のワールドカップ決勝でのPK戦となった。
PK戦では、アルゼンチンが全員成功させる一方で、フランスは1人がセーブ、1人が枠外に外し、アルゼンチンが1986年以来の優勝を果たした。
個人タイトルでは、MVPがメッシ、得点王がエムバペ、最優秀若手選手がエンソ・フェルナンデス、最優秀GKがエミリアーノ・マルティネスとなった。
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— FIFA World Cup (@FIFAWorldCup) December 18, 2022
さて、この度最優秀GK賞を受賞したエミリアーノ・マルティネスだが、圧巻の大会だった。
グループステージでは3試合中2試合でクリーンシートを達成すると、準々決勝ではPK戦で大活躍。2本のPKを止め、準決勝進出に大きく貢献した。
決勝では、3点を決められているが、その内2点はPKによるもの。試合終了間際には決定機を阻止するスーパーセーブを見せ、PK戦へ望みをつなぐと、そのPK戦でも1本をセーブし、一気にアルゼンチン有利の流れを作った。
今回エミリアーノ・マルティネスは30歳にして初めての大舞台。それもサブGKとしてではなく、守護神としての選抜だ。
10代の頃からアーセナルに引き抜かれるなど期待されていたが、思うような成長曲線を描けなかった。レンタル移籍を繰り返すもポジションを掴みきることができず、控えに回ることが多かった。
それでも20-21年にアストンヴィラで守護神の座を掴むと、一気に開花。アルゼンチン代表の第一GKになるまで成長した。
そんな苦労人がワールドカップという最高の舞台で躍動。自身の幼少期は貧しかったそうだが、同じようにアルゼンチンの貧しい子どもたちに夢を与えられたのではないだろうか。
以下は1998年以降の最優秀GK賞受賞者である。
1998年ファビアン・バルテズ(フランス)
2002年オリバー・カーン(ドイツ)
2006年ジャンルイジ・ブッフォン(イタリア)
2010年イケル・カシージャス(スペイン)
2014年マヌエル・ノイアー(ドイツ)
2018年ティボー・クルトワ(ベルギー)
2022年エミリアーノ・マルティネス(アルゼンチン)