サッカー選手なら誰もが憧れるバロンドール。しかし何より、受賞するにあたっての基準が何なのか、何をもって判断するのかが度々議論のポイントとなる。そんなバロンドールだが、次回のトロフィーからは、大きく方式が変わるわけではないものの、いくつかの新しい判断材料が追加される。
フランスの日刊紙『L’Equipe』は、「次の4つの新基準は、次のバロンドールから導入され、透明性と公平性を柱とする選出の条件と原則を強化することを目的としている」と説明している。
該当シーズンの変更
元々、年間最優秀選手を称える賞であったため、趣旨においては過去からずっと変わっていない。現在までバロンドールは1月から12月までの成績から選出されるが、これは事実上、1月から7月、8月から12月の2つの半シーズンの審査・評価を強いられることになり、1シーズンの全体像から評価されるものではない。
したがってサッカーにおける「シーズン」とバロンドールの評価期間(1月〜12月)で、我々が俗に言う1年間には若干のタイムラグがあることから、今回どの期間のパフォーマンスを考慮し、評価するかをより明確にすることになった。
そのため、次回からは今シーズン開始から欧州女子選手権(2022年7月6日〜31日)が終了するタイミングまでの2021/22シーズン全体を考慮したものとなる。つまりカタールW杯(2022年11月21日〜12月18日)は、2023年のバロンドールと連動することになる。
候補者リスト
バロンドール授与式は、候補者リスト(男子30名、女子20名、ヤシン賞とコパ・トロフィー10名)が作成されると同時にスタートするが、今回からリスト作成するに当たってのプロセスが更に強化される。可能な限り公正で、議論の余地のない、適切な候補者の選定を行うため、これまでのFrance Football誌を中心に行われていたプロセスを変更することになった。
現在France Footballメインで候補者リストが作成されているが、バロンドールのアンバサダーを務めるドログバ氏なども加わり、バランスの取れた選出リストが作られるだろう。
投票がより偏らないために
1956年にはヨーロッパの16人の審査員しかいなかったのが、2021年には全世界170人(2021年)に増え、地域問わず日々公平なものになっている。しかしこれが逆効果ではないのかという声も上がっているのだ。というのもサッカー文化が全くといっていいほど根付いていない国の人にとっては表面上の情報しか得ることができず、結果として知識が偏ってしまうのではないかという懸念があるからだ。
だからと言って、民主主義の建前を捨てるわけにもいかないため、審査員を「エリート」、つまり真の目利きに限定する。したがって、FIFAランキング上位100カ国(女子は50カ国)の代表者だけが投票権を「持つ」ことになる。
明確な判断材料
基準は制定以来あまり進化しておらず、これについてはしばしば議論が起こる。したがって、投票の構成要素の優先順位を更新し、より一貫性と明瞭性を高めることで選出する際の曖昧さを回避できると考えられている。
しかしバロンドールは個人賞であるため、第一には勿論のこと、個人のパフォーマンスや成績に焦点を当てることになるのは変わりない。
加えてサッカーは集団スポーツであるため、二つ目の基準は、チームのパフォーマンスとシーズン中にどれだけチームとして結果を収められたかに焦点が当てられる。
三つ目としてプロとしての振る舞いやフェアプレー度についても判断される。なぜなら、プロサッカー選手として模範を示すことも大切だからだ。一方で「選手のキャリア」という基準がなくなり、バロンドールという賞は誰にでもオープンな授与式として捉えられる。
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