ラ・リーガ1部に所属するヘタフェの会長アンヘル・トーレスが、ベイル側から移籍のオファーを貰ったと、クラブの新ユニフォーム発表会で明かした。柴崎岳や久保建英が以前所属していたクラブは、今シーズン15位と、最終節まで降格争いをしていた。この噂は急速にメディアやSNSで拡散され、現地では大きな話題となった。
ベイルのような大スターがスペインの中堅クラブに移籍するのは一見不可能に思えるが、それを可能にする理由が二つ存在する。一つ目はベイルの家族がマドリードに住むことを望んでいることだ。ヘタフェはマドリード中心部から南へ13キロのところに位置する、マドリード州の郊外都市。実際、2020年にベイルがトッテナムへローン移籍した時も、家族はマドリードに残って生活した。
二つ目の理由は11月に開催されるカタールW杯に完璧なコンディションで挑みたいということだ。キケ・サンチェス・フローレス監督の下ではそれが可能になると、ベイルや中井卓大のエージェントであるジョナサン・バーネット氏は考えているだろう。
金銭的な問題
一番の壁となるのは金銭的な問題だ。salarysport.comによると、2022年時点でのベイルの総額年俸は約3,200万ユーロであり、ヘタフェの予算を大きく上回ることになると考えられる。
昨シーズンのククレジャの売却(1,800万ユーロ)や今シーズンのオリベラ(1,500万ユーロ)とウゴ・ドゥロ(400万ユーロ)の売却を合わせれば、若干金銭的に余裕があるのは現実だ。しかし、去年ヘタフェはビトロ獲得に大きな賭けにでたが(総額年俸約1,000万ユーロ)、結果が得られず、大きな失態となっている。
ビトロの年俸以外も以下の表で見てみよう。
ご覧の通り、ヘタフェ全選手の年俸を合計してようやくベイルの年俸を支払えるぐらいの額となっているため、もし本当に加入する場合は大きな減俸を求められるに違いない。
クラブへの影響
ベイルがヘタフェに移籍すれば、チームでの得点やアシストのパフォーマンスはもちろんのこと、マーチャンダイジングの販売やシーズンチケット購入者(現在は約11,000人)の増加が見込まれる。
ただ、クラブ側も多くの疑問を抱えている。W杯を最優先としているベイルはどこまでヘタフェでパフォーマンスを発揮できるのか。W杯後ヘタフェでプレーするモチベーションは残るのか。
スペインで大きな話題となったこの移籍の噂。サッカーメディアやファンから大きな信頼を得ているイタリアのジャーナリストであるファブリツィオ・ロマーノはツイッターで「バーネット氏はヘタフェの会長の電話番号すら知らない」と移籍の噂を完全に否定した。