今回は関西の中学生サッカークラブ「アリバSC」の三井監督にインタビューをさせていただいた。
三井監督は現在19歳。高校時代はスペインのチームの練習に参加し、フエンラブラダやカニージャスといったクラブのユースチームに所属していたという経験の持ち主だ。
現在はそこで学んだスペイン流のサッカーを次世代の子どもたちに伝授するという役割を担っている。
アリバSCは、ファジアーノ岡山、水戸ホーリーホック、べガルダ仙台のユースチームに選手を送り込んだ実績を持つのだが、スペイン流の練習を取り入れたアリバSCはどのようなチームなのか。インタビューを通して、チームの方向性が明らかになった。
━━━まずは自己紹介をお願いします。
中学1年生から3年生の11月までアリバSCでプレーし、そこからスペインに渡りました。最初は、モラタラスやレガネス、ヘタフェで練習参加をして、最終的にフエンラブラダというチームのユースに所属することになりました。
そして、高校3年生の時にカニージャスのユースに所属し、その後は3ヶ月ほどペリソというチームの大人カテゴリーでプレーしていました。
今年からアリバSCの監督を務めています。
━━━スペインではどのようなことを学びましたか?
まず驚いたのは、練習環境の違いです。日本だとほとんどのグラウンドが土だったり、コーチがボランティアだったりするのですが、スペインは芝生のグラウンドしかなく、コーチに関してもほとんど全員が何かしらの資格を持っています。この差は凄く感じました。
━━━コーチの資格というのは例えばどのようなものですか?
例えば、トレーナーだけでも、フィジカルトレーナーだったりGKトレーナーだったりとそれぞれの分野に専属のコーチがいます。とてもしっかりと整備されていると思いました。
━━━アリバSCはどのようなチームなのですか?
アリバSCは、僕のスペインでの経験を生かしてスペイン流のサッカーを年頭に置いて活動しています。
具体的には、フィジカルなどの先天的なものにとらわれずに、技術面や正しいポジショニング、インテリジェンスなど誰でも伸ばせる分野を個人に合わせて育成し、高校やその先のプロなど次のステージで活躍できる選手を育てるというチームです。
━━━アリバSCのビジョンは、やはりプロを目指せるような育成をすることですか?
サッカーは中学年代で終わるものではないので、その先のプロにつながるための強豪高校やJユースなど良い進路になるよう心がけています。
━━━これまでのアリバSCの進路実績などあれば教えていただけますか?
例えば、高校だと滝川第二高校、桐生第一高校、岡山作陽高校などです。Jユースだと、ファジアーノ岡山、水戸ホーリーホック、べガルダ仙台のユースにそれぞれ1人ずつ送り込んでいます。
━━━この選手たちは中学時代から飛び抜けていたのですか?
全員がそういうわけではありません。これらの進路を選んだ選手の中には、入ってきた段階ではリフティング10回できないような人もいました。しかし、正しいポジショニングや各場面で正しい選択肢をとるという練習を続けていると、良い結果につながることになりました。
━━━具体的にはどのような練習内容なのですか?
練習内容が他のチームと大きく変わるというわけではありません。しかし、その中で練習をこなすだけではなく、例えば「今そのプレーを選択した理由は何なのか」「その選択肢以外のプレーはなかったのか」などを考えてもらうということを徹底しています。
━━━アリバSCに所属している選手にはこうなってほしいという理想像はありますか?
型にはまった選手にはなってほしくないです。例えば他のチームでは、ドリブルを主体とするチームではドリブルを教えたり、カウンターを主体とするチームではフィジカルを中心に教えたりというようになると思います。
しかし、人それぞれできることは違いますし、得意なことも違います。この点で自分の個性を生かせる選手になってほしいと思っています。
━━━アリバSCの一週間の練習はどのような流れですか?
チーム練習は水曜日と木曜日、そして土日が練習試合か練習、もしくは日曜日が公式戦となっています。練習試合はほぼ毎週で、公式戦は協会の日程によって異なります。
水曜日は、週明けで身体が重い場合が多いので、最初の15分~20分からフィジカル系のアップから始まります。そこから少し強度を高めていきます。
木曜日は最も練習の強度が高い日です。ポゼッション練習でも少し広めにとってフィジカル的な強度が高くなるように練習を組んでいます。
アリバSCには、「チーム」と「スクール」というものがあり、スクールに通う選手は月曜日と火曜日に練習を行います。チームに所属している選手もスクールに参加できるため、その場合は月火水木の練習となります。
スクールとはチーム活動は行わず、「身体能力スクール」や「判断力スクール」など何かの練習に特化したものを提供する場のことです。
スクールに通う選手は、他のサッカーチームに所属している場合がほとんどです。
━━━アリバSCが普段参加されている公式大会や優勝経験などを教えていただけますか?
今年クラブユースという大会で兵庫県大会で優勝し、関西大会に進出しました。しかし、関西大会では惜しくも一回戦で負けてしまいました。将来的には、全国大会までは進みたいと夢見ています。
━━━現在アリバSCでは新加入選手のトライアウトをされているとのことですが、具体的にはどのようなものなのでしょうか。
トライアウトは、水曜日、木曜日、土曜日、日曜日のいつ来ていただいても問題ありません。
これはセレクションという形ではなく、チーム練習に実際に参加してもらい、選手本人がフィットするかを確認する場となっています。一方でチーム側は、参加している選手たちがどのような選手なのかを見極めます。
基本このセレクションでは「落とす」という概念はありません。どういう選手なのかを見極めるというのが目的なので、「試験」とは異なります。
どのような能力があって、どのような特徴があるのかを見させていただくという場になっています。
ですので、どのような基準で獲得する・落とすというのはありません。
━━━このセレクションを受けるのは、いつでも良いのですか?入団〇ヶ月前に受けないといけないという制限はあるのですか?
そのような制限は全くありません。例えば水曜日に練習に来ていただいて、入団することになれば翌日の木曜日から練習に参加していただくことができます。
━━━最後に、アリバSCを今後どのようなチームにしていきたいと考えていますか?
チームを強くすることはもちろんなのですが、育成では個人の能力や特性を伸ばし、どのステージでも戦えるような選手を育成できるチームにしていきたいです。
そして、中学サッカーという単位ではなくサッカー選手という長い単位で考えている選手は、ぜひアリバSCに来てスペイン流の育成で学んでもらえればと思います。
━━━ありがとうございました。
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