2022年2月アルゼンチンリーグの新シーズンが開幕した。昨シーズン王者リーベルプレートはラシンクラブに2点差を追いつかれるなど、イマイチ本調子ではない。
そんなリーベルプレートだが、「Las Gallinas(ニワトリ)」や「El Millonario(億万長者)」と呼ばれていることはご存知だろうか。例えば「El Millonario(億万長者)」は、1930年代にチームが移籍市場で大金を使ったことからその愛称が付いている。
このようにアルゼンチンリーグのクラブには、興味深い愛称が多く存在するのだが、今回の記事ではアルゼンチンリーグ主要クラブの愛称を紹介していく。単語だけ聞くと意味不明なものも多いが、背景を知ることでより知識が深まっていくだろう。
1. リーベルプレート
「El Millonario(億万長者)」
Las Gallinas(ニワトリ)・・・18年間もタイトルを獲得できなかったクラブの不調を揶揄して生まれた。1966年にはコパ・リベルタドーレスの決勝に進出し、1stレグで大きなリードを奪ったにもかかわらず、2ndレグで大敗を喫し負けたという。次のバンフィエルドとの試合では、バンフィエルドのファンが雌鳥を投げていたため、この愛称は不朽のものとなり、何年か後にはリーベルのファン自身が使うようになった。
El Millonario(億万長者)・・・1930年代にチームが移籍市場で大金を使ったことからその名が付いた。
2. ボカジュニオールズ
「 Los Bosteros(糞の回収業者)」
El Xeneize(ジェノバの息子)・・・ボカは1905年にジェノバからの5人の移民によって設立されたためこの名が付いた。「Xeneize」は、「Zeneïze 」の変形でスペイン語では「ジェノバの息子」という意味。ジェノバは現地の方言でこう呼ばれている。
Los Bosteros(糞の回収業者)・・・これにはいくつかの説がある。一番有力なのは、マタンサ川を渡っていた船を意味する「Botero」が訛ったものという説。「bostero」に変わったのは、ボカ地域の強烈な匂いに文句を言うライバルファンを怒らせるためだった。
3. ラシンクラブ
La Academia(アカデミー)・・・1914年末、ラシンクラブが成し遂げた連勝記録の後に誕生した。クラブは7連覇を達成し、大会中は無敗を続けていたため、「フットボール・アカデミー」という愛称で呼ばれていた。
4. インデペンディエンテ
「El Rey de Copas(タイトルの王様)」
Los Diablos Rojos(赤い悪魔)・・・この愛称はあるジャーナリストが新聞に書いたことにより生まれたものである。1920年代から1930年代にかけて、チームの圧倒的な攻撃力によって誕生した。
El Rey de Copas(タイトルの王様)・・・インデペンディエンテの黄金時代である1970年代に誕生した。当時は国内外のトーナメントで数々のタイトルを獲得していた。
5. サンロレンソ
「Los Cuervos(カラス)」
El Ciclón(サイクロン)・・・ジャーナリストのウーゴ・マリーニ氏が最初に使ったと言われている。この愛称は、ライバルチームであるHuracán(意味:熱帯低気圧)との対比にもなり、すぐに採用された。
Los Cuervos(カラス)・・・カラスの黒色が、1908年にクラブを創設したロレンツォ・マッツァ神父が着用していた服と似ていることから生まれた。
6. ウラカン
「El Quemero(焼却施設)」
El Globo(気球)・・・このニックネームと紋章は、1909年にブエノスアイレス市とブラジルのバゲ市の間を横断したアルゼンチン人飛行家ホルヘ・ニューベリーに、敬意を表してつけられたもの。
El Quemero(焼却施設)・・・ブエノスアイレス市の廃棄物を焼却していた「Quema Municipal」にクラブの本拠地が近いことに由来している。
7. ニューウェルズ・オールドボーイズ
La Lepra(ハンセン病)・・・地元(ロサリオ)のカラスコ病院がハンセン病(別名レプラ)撲滅のためのチャリティーマッチを開催したことがきっかけで付いた愛称。ニューウェルズはこの提案を受け入れ、宿敵ロサリオ・セントラルのファンから愛称で呼ばれるようになった。
メッシはニューウェルズ・オールドボーイズのファンとして知られている。
8. ロサリオ・セントラル
El Canalla(ろくでなし)・・・ニューウェルズはチャリティーマッチ開催を受け入れたものの、ロサリオ・セントラルは参加に反対した。この行為がニューウェルズの反感を買い、ニューウェルズのファンから「ろくでなし」と呼ばれることになった。
9. ベレス・サンフィエルド
El Fortín(小さな砦)・・・サンロレンソ同様、ジャーナリストのウーゴ・マリーニが書いた記事に由来する。彼は、ピッチ上の照明塔が軍事要塞の構造に似ていることからこの愛称が付いた。
10. タジェレス・デ・コルドバ
El Carteludo(超有名)・・・地元リーグも含めて合計61回の公式タイトルを獲得しているコルドバ州最大のクラブであることからこの愛称が付けられた。21シーズンセカンドステージでは残り2試合の時点で2位となっている。ちなみにタジェレス・デ・コルドバの最大のライバルは、同じコルドバ市にあるベルグラーノ。