リーベルプレート

現在準決勝と決勝を控えるのみとなったカタールワールドカップ。いよいよ大詰めを迎えている。

ここまで残っているのは、アルゼンチン、クロアチア、フランス、モロッコ。アルゼンチンは2014年以来、クロアチアとフランスは2大会連続、モロッコは史上初のベスト4だ。

今大会は各国で若手の活躍が目立つ。上記の4ヵ国でいえば、アルゼンチンはアルバレスやエンソ・フェルナンデス、クロアチアはグヴァルディオル、フランスはエムバペやチュアメニ、モロッコはアゼディン・ウナヒなどだろうか。

彼らの中でも今回注目するのはアルゼンチン代表MFエンソ・フェルナンデス(21歳)。今大会一気に能力を世界に知らしめた選手だ。

グループステージのサウジアラビア戦とメキシコ戦では途中出場だったが、ポーランド戦で初の先発出場を果たすと、そこから欠かせない存在として活躍する。

今大会でスタメン起用される際のポジションはアンカー。レアンドロ・パレデスからポジションを奪った形だ。中盤の最後尾からパスを散らし、攻撃のリズムを作る。また、体格のわりにはフィジカルも強く、ポーランド戦ではレヴァンドフスキへ送られるロングパスにも難なく対応した。

一方で、ポーランド戦やオランダ戦のようにパレデスが途中から出場する場合はインテリオールにポジションを移し、攻撃面で貢献することができる。実際ポーランド戦では、元同僚のフリアン・アルバレスへのアシストも記録している。攻守に対応できる万能型だ。

エンソ・フェルナンデスはアルゼンチンの強豪リーベルプレートで育ち、22年の夏にポルトガルの強豪ベンフィカへ移籍した。

リーベルプレート時代は元アルゼンチン代表のエンソ・ペレスという絶対的な存在が中盤の底にいたため、エンソ・フェルナンデスはどちらかと言えば攻撃的なポジションだった。トップ下のような場所でプレーすることも多く、ゴールやアシストを量産した。

ただ、ベンフィカではダブルボランチの一角を担っており、守備での貢献も目立つ。これらの経験が万能性を生み出したのだろうか。

このように現在のアルゼンチン代表で主力として活躍するエンソ・フェルナンデスだが、現在様々なビッグクラブへの移籍が噂されている。

アルゼンチン紙の『Olé』によると、リーベルプレートはエンソ・フェルナンデスをベンフィカへ売却する際、選手の75%を売却し、残りの25%はリーベルプレートが保有するという形をとったとのこと。

つまり、もしエンソ・フェルナンデスが1億ユーロでベンフィカから移籍するとなれば、2500万ユーロがリーベルプレートに入るのだ。アルゼンチンリーグではかなりの額である。

アルゼンチンリーグは、どちらかと言えば育成型のクラブが多い。リーベルプレートもフリアン・アルバレス(マンチェスターC)やエンソ・フェルナンデスなど下部組織出身の選手を巨額で欧州の強豪へ売却している。

アルゼンチン代表は決勝進出をかけてクロアチア代表と対戦する。果たしてマラドーナが躍動した1986年以来の優勝を成し遂げることはできるのか。